【レビュー】DIO『Inferno - The Last In Live』:魂が震える伝説のステージを今こそ体感せよ!
かつて、ハードロックとヘヴィメタルが人生のBGMだったという方へ──そして、そこに今まさに触れようとしている若い世代へ。このアルバムは、時代を超えて語り継がれる“声”を、ありのままに体感できる貴重な記録です。
1998年にリリースされたDIOのライブアルバム『Inferno - The Last In Live』は、ロニー・ジェイムス・ディオの圧倒的な歌唱力と情熱が、ひしひしと伝わってくる一枚。90年代末という音楽的転換期に生まれた本作は、DIOというバンド、そしてその核であるロニー自身の集大成ともいえるライブパフォーマンスを収めています。
魂を揺さぶる“声”がここにある:ロニー・ジェイムス・ディオの魅力
あの時代、深夜ラジオから流れてきた「Holy Diver」や「Rainbow In The Dark」に心を奪われた経験はありませんか?ロニー・ジェイムス・ディオの声には、時代を切り裂くようなパワーと、人間の繊細な感情を映し出す深みがありました。
『Inferno』に収められた彼のパフォーマンスは、まるで観客一人ひとりに語りかけてくるかのような説得力。力強さ、優しさ、悲しみ、そして希望──その全てを一つの歌声に込められる稀有な存在でした。
名曲の連なりが描き出す、ロックの叙事詩
ライブでは、DIO名義の代表曲はもちろん、BLACK SABBATHやRAINBOW時代の名曲も惜しみなく披露されています。選曲はまるでロニーのキャリアを時系列で追体験できるかのよう。
特に「Heaven And Hell」や「Man On The Silver Mountain」など、彼が在籍したバンドを超えたセレクションは、長年のファンにとっては感涙もの。一方で、初めて彼の歌声に触れる若いリスナーにも、時代を越えて訴えかけるロックの普遍性を感じてもらえるはずです。
ライブの“生々しさ”が伝える真実のサウンド
当時、アルバムの音質について賛否があったのは事実。しかし、それはむしろ“加工されていない本物の空気感”の裏返しでもありました。楽器の鳴り、観客の熱気、そしてロニーのブレスまでもがリアルに刻まれたこの音源は、編集され尽くした現代のライブ盤とは一線を画しています。
この生々しさこそが、ロックの醍醐味だと感じる方も多いのではないでしょうか。音楽が“情報”ではなく“体験”だった時代の記録──それが『Inferno』なのです。
基本情報 / Basic Information
| 項目 / Item | 内容 / Details |
| リリース日 / Release Date | 1998年3月17日(日本盤)/1998年2月24日(輸入盤) |
| ジャンル / Genre | Heavy Metal, Hard Rock |
| レーベル / Label | Spitfire Records(初出)、再発盤はST2 Records(ブラジル) |
| 収録曲数 / Number of Tracks | 日本盤:21曲(2枚組)/輸入盤:16曲(1枚または2枚組) |
| 総再生時間 / Total Runtime | 約110分(2枚組合計) |
トラックリスト / Track Listing
Disc 1
| # | 曲名 / Song Title |
| 1 | Intro |
| 2 | Jesus Mary & The Holy Ghost |
| 3 | Straight Through The Heart |
| 4 | Don't Talk To Strangers |
| 5 | Holy Diver |
| 6 | Drum Solo |
| 7 | Heaven And Hell |
| 8 | Double Monday |
| 9 | Stand Up And Shout |
| 10 | Hunter Of The Heart |
Disc 2
| # | 曲名 / Song Title |
| 1 | Mistreated / Catch The Rainbow |
| 2 | Guitar Solo / Mistreated |
| 3 | The Last In Line |
| 4 | Rainbow In The Dark |
| 5 | Mob Rules |
| 6 | Man On The Silver Mountain |
| 7 | Long Live Rock 'N' Roll |
| 8 | We Rock |
| 9 | After All |
| 10 | I |
| 11 | Interview(日本盤のみ収録) |
メンバー / Personnel
| 名前 / Name | 担当楽器・役割 / Instrument & Role |
| Ronnie James Dio | Vocals, Producer, Mixing |
| Tracy G | Guitars |
| Vinny Appice | Drums |
| Larry Dennison | Bass |
| Scott Warren | Keyboards |
さらに知っておきたい注目ポイント
- 再発盤情報:2000年代にST2 Records(ブラジル)よりSpitfire Masters Seriesとしてリマスター盤が登場。限定500枚のABプレス仕様も流通。
- 演奏の評価:Tracy Gの攻撃的なギターと、Vinny Appiceの重厚なドラミングが相まって、ライブならではの緊張感を演出。
- 日本盤の特典:「After All」「I」「Interview」が追加収録された日本盤は、コレクターズアイテムとしても人気。
今こそ、このライブを耳で“観る”べき理由
ロニー・ジェイムス・ディオという名を、まだよく知らない世代にこそ届けたい。彼は決して遠い昔の人ではありません。『Inferno - The Last In Live』を聴けば、音楽が本来持っていた「熱」や「誠実さ」、「心を揺さぶる力」に、きっと気づかされるはずです。
──このアルバムは、ロックの歴史に刻まれた、“燃え尽きることのない炎”のような一枚なのです。
