🎸オジー・オズボーン『No More Tears』:1991年の魂の叫びは今なお響く、世代と時代を超える名盤
1991年――時代はグランジの波に揺れ、メタルシーンは岐路に立たされていた。
その最中でオジー・オズボーンは、自らの音楽人生の集大成ともいえる一枚『No More Tears』を放つ。
当時をリアルタイムで駆け抜けた筆者が、30年以上経った今だからこそ語ります。
🔥筆者の体験:この作品と出会った衝撃
「Mama, I'm Coming Home」がラジオから流れてきた瞬間、私は立ち尽くしました。
メタルに宿る“感情”の深さを知ったのです。オジーの声は憂いを帯び、ザックのギターは泣いていた。
この1曲が、HR/HMという音楽ジャンルへの私の信頼と情熱を決定づけました。
🧠基本情報と文化的背景
| 項目 | 詳細 |
| タイトル | No More Tears |
| リリース日 | 1991年9月17日(US) / 10月7日(UK) |
| ジャンル | ヘヴィメタル / ハードロック |
| レーベル | Epic Associated |
| 総再生時間 | 約57分 |
| 売上認定 | RIAA 5xプラチナ(米国) / ゴールド(日本)など |
| 受賞歴 | 「I Don't Want to Change the World」がグラミー賞受賞(1993年) |
🎶トラックリスト
| # | 曲名 / Song Title | 備考 |
| 1 | Mr. Tinkertrain | 狂気のオープニング |
| 2 | I Don't Want to Change the World | グラミー受賞 / レミー作詞 |
| 3 | Mama, I'm Coming Home | 感涙必至のバラード / 全米TOP40入り |
| 4 | Desire | 荒々しさとメロディの融合 / レミー作詞 |
| 5 | No More Tears | プログレ級の構成美 / 7分超 / マイク作リフ |
| 6 | S.I.N. | 内省と叫び |
| 7 | Hellraiser | モーターヘッド版あり / レミー作詞 |
| 8 | Time After Time | 穏やかさと心象風景 |
| 9 | Zombie Stomp | 重低音の連打とアグレッション |
| 10 | A.V.H. | テンポチェンジと変拍子 |
| 11 | Road to Nowhere | 哀愁漂う名バラード |
👥メンバー構成(Personnel)
| 名前 / Name | 担当 / Role |
| Ozzy Osbourne | ボーカル / Vocals |
| Zakk Wylde | ギター / Guitars |
| Randy Castillo | ドラム / Drums |
| Bob Daisley | ベース(全編) / Bass (Entire Album) |
| John Sinclair | キーボード / Keyboards |
🎧追加ミュージシャン:
- Mike Inez:タイトル曲ベースリフの作者/プロモ出演・ツアー参加
- Lemmy Kilmister:作詞協力(#2, #3, #4, #7)
📀再発盤による再評価と魅力
- 2002年リイシュー盤:B面曲「Don't Blame Me」「Party with the Animals」追加
- 2021年30周年記念盤:デモ音源・ライブ音源含む全25曲のExpanded Digital Edition/2LP重量盤としても展開
🔍当時を知らない若者にも再発見され、“聴くべき名盤”として評価が再燃中。
🎵楽曲レビュー(おすすめ3選+α)
1.「No More Tears」
7分超の壮大な物語。音楽と叫びの融合
イントロのベース→ギター→オジーのヴォーカルまでの流れが完璧。
ダークで重厚なのに、どこか詩的で美しい。プログレッシヴな構成力はメタルの枠を超えています。
- 注目点:マイク・アイネズのベースリフ、ザックの泣きのギター、ドラマ性あふれる展開
2.「Mama, I'm Coming Home」
メタル界屈指のエモーショナル・バラード
親への想い、帰郷、赦しを描いた名曲。
メタル=怒り・激しさという固定概念を覆した、オジーの“人間性”が光る一曲。
- 注目点:穏やかなメロディ、誠実な歌詞、柔らかなギターの旋律
3.「Road to Nowhere」
人生の迷路と孤独を歌う、心に沁みる終幕曲
イントロの哀愁、抑えた演奏、静かな歌声に重ねられる深いメッセージ。
大人になってからこそ響く、「どこにもたどり着けない」人生への問い。
- 注目点:内省的な歌詞、心に残るメロディ、抑制された情感
🆙番外編:筆者が語りたいもう1曲
「Hellraiser」
友情の結晶としてのメタル・アンセム
モーターヘッドとの“共同楽曲”として誕生し、レミーとオジーの友情と共鳴が詰まった疾走曲。
同名タイトルの映画ともリンクし、90年代的なサブカルの香りも漂います。
- 注目点:ツインバージョンの存在(オジー&モーターヘッド)、ライブ映えする構成
🔚まとめ
『No More Tears』は、オジー・オズボーンの音楽史における頂点であり、世代とジャンルの壁を超えた“人間的名盤”です。
今聴いても、心に火を灯すような楽曲ばかり――新しい世代にも届けたい音の記憶。

