🌟STEELER『Steeler』──若きYngwieとRon Keelが交差した、熱き一瞬の記録
作品との出会い──あの頃の熱気を、今こそもう一度
1983年、LAメタルの胎動期。ラジオから流れてきた「Cold Day in Hell」に、思わず耳を奪われたあの日。STEELER──Ron Keel率いるバンドが放った唯一のアルバムには、後にギター界の伝説となるYngwie Malmsteenが在籍していました。
この作品は、ただの“過去の名盤”ではありません。荒削りながらも、若さと情熱が詰まった“瞬間の記録”。そして今、Spotify世代にもその熱が届き始めています。音楽が持つ「時代を超える力」を、改めて感じさせてくれる一枚です。
🎼基本情報:STEELER『Steeler』アルバムデータ
| 項目 | 内容 |
| リリース日 | 1983年9月25日 |
| ジャンル | ヘヴィメタル |
| レーベル | Shrapnel Records |
| 総再生時間 | 約36分51秒 |
| 収録曲数 | 9曲 |
| 録音スタジオ | Prairie Sun Studios(カリフォルニア州) |
🎵トラックリスト
| # | 曲名 | 時間 |
| 1 | Cold Day in Hell | 4:17 |
| 2 | Backseat Driver | 3:24 |
| 3 | No Way Out | 5:18 |
| 4 | Hot on Your Heels | 6:35 |
| 5 | Abduction(Instrumental) | 1:10 |
| 6 | On the Rox | 2:54 |
| 7 | Down to the Wire | 3:52 |
| 8 | Born to Rock | 3:06 |
| 9 | Serenade | 6:15 |
🎸メンバー構成
| 名前 | 役割 |
| Ron Keel | ボーカル・リズムギター |
| Yngwie Malmsteen | リードギター |
| Rik Fox | ベース |
| Mark Edwards | ドラムス |
追加ミュージシャン
Peter Marrino:バックボーカル(Track 3 & 8)
🔊音質・アレンジ・パッケージ──再発盤で蘇る“熱”
オリジナル盤は、荒々しくも生々しいミックスが特徴。Yngwieのギターは、技巧よりも衝動が前面に出ていて、まるで獣が弦を引き裂くような勢い。
2023年のRecord Store Day限定再発盤では、赤クリア盤仕様+リマスター音源で登場。音像はよりクリアになり、当時の空気感を保ちつつも現代的な聴きやすさが加わりました。アイキャッチにも最適なビジュアルです。
🎧楽曲レビュー:3曲に宿る“熱”と“物語”
① Cold Day in Hell
アルバムの幕開けを飾る一曲。Ron KeelのシャウトとYngwieのギターが火花を散らす、まさに“冷たい地獄”のような緊張感。Metal Massacreコンピにも収録されたこの曲は、STEELERの名刺代わりとも言える存在です。
「Crunchyなギターとラズの効いたボーカルが、80年代の空気を一瞬で蘇らせる」──筆者談
② No Way Out
ミドルテンポで展開されるこの曲は、Ron Keelのボーカルの魅力が際立つ一曲。サビのメロディラインと、アウトロでの高音シャウトが印象的。Yngwieのギターも、曲の情感に寄り添うように奏でられています。
「派手さよりも、内なる熱を感じる。まさに“出口のない想い”」──筆者談
③ Hot on Your Heels
Yngwieの“Eruption”的なギターイントロから始まる、アルバム最大の見せ場。クラシカルなアコースティック→エレキへの流れは、彼の才能が爆発する瞬間。バンド全体が一体となって疾走する、圧巻のロックナンバーです。
「この曲を聴いた瞬間、Yngwieが“ただ者ではない”と確信した」──筆者談
🕰文化的・世代的な意義──80年代HR/HMの胎動
このアルバムが生まれた1983年は、Quiet Riot『Metal Health』やMotley Crüe『Shout at the Devil』が登場した年。LAメタルが爆発寸前のタイミングでした。
STEELERはその波の中で、Yngwieという異端児を迎え入れ、わずか数ヶ月の活動で解散。だが、その短命さこそが伝説を生んだ。今聴くと、当時の空気──夢と野心と混沌──が音に焼き付いているのです。
💡筆者のおすすめポイント──“心に残る曲”と“あの夜の記憶”
「Serenade」は、バラード調ながらも哀愁と荒々しさが同居していて、当時のLAの夜を思い出します。あの頃、ラジオから流れてきたこの曲に、未来への焦燥と希望を重ねていた──そんな記憶が、今も胸に残っています。
📣まとめ
STEELER『Steeler』は、単なる過去の名盤ではありません。今もなお、語り継がれるべき“瞬間の記録”です。Yngwieの原点、Ron Keelの情熱、そして80年代HR/HMの胎動が詰まっています。
✍️筆者プロフィール
私はこの時代にリアルタイムでHR/HMを浴びて育ちました。80年代の空気を知る者として、そして今の世代にその魅力を伝える“橋渡し役”として、音楽の記憶と情熱を言葉にしています。

