- 基本情報 / Basic Information
- トラックリスト / Track Listing
- メンバー / Personnel
- 【レビュー】イングヴェイ・マルムスティーン『Facing The Animal』──哀愁と鋼鉄が交差するギター叙事詩
- 参考音源
- 通販
基本情報 / Basic Information
項目 / Item | 内容 / Details | |
リリース日 / Release Date | 1997年9月3日 | |
ジャンル / Genre | ネオクラシカル・メタル、ヘヴィメタル | |
レーベル / Label | ポニーキャニオン(日本)、マーキュリー・レコード(海外) | |
収録曲数 / Number of Tracks | 14(日本盤ボーナストラック含む) | |
総再生時間 / Total Runtime | 約63分32秒 |
トラックリスト / Track Listing
# | 曲名 / Song Title | |
1 | Braveheart | |
2 | Facing The Animal | |
3 | Enemy | |
4 | Sacrifice | |
5 | Like An Angel - For April | |
6 | My Resurrection | |
7 | Another Time | |
8 | Heathens From The North | |
9 | Alone In Paradise | |
10 | End Of My Rope | |
11 | Only The Strong | |
12 | Poison In Your Veins | |
13 | Air On A Theme(ヴィヴァルディ原曲のアレンジ) | |
14 | Casting Pearls Before The Swine(日本盤限定ボーナストラック) |
メンバー / Personnel
名前 / Name | 担当楽器・役割 / Instrument & Role | |
Mats Levén | リード・ボーカル | |
Yngwie Malmsteen | ギター、ベース(一部)、バッキング・ボーカル、プロデュース | |
Barry Dunaway | ベース(主にトラック2,3,5,7〜11) | |
Cozy Powell | ドラムス(トラック13以外) | |
Mats Olausson | キーボード |
その他の情報 / Additional Information
- プロデューサー:Yngwie Malmsteen、Chris Tsangarides
- 録音スタジオ:Studio 308、Criteria Studios(マイアミ)
- チャート成績:日本オリコンアルバムチャート4位、フィンランド20位、スウェーデン39位
- 認定:日本でゴールドディスク(10万枚以上)
- 備考:本作はドラマーCozy Powellの遺作のひとつであり、1998年4月の来日公演直前に交通事故で逝去。
リマスター・再発情報
- 1997年当時に複数の国でCDとしてリリース(日本盤PCCY-01154など)
- 2020年代以降、公式なリマスター盤の情報は確認されていませんが、一部再発盤(Dream Catcher盤など)が1998年にUKで流通
- 海賊盤や非公式再発も存在するため、購入時はレーベルとカタログ番号の確認を推奨
【レビュー】イングヴェイ・マルムスティーン『Facing The Animal』──哀愁と鋼鉄が交差するギター叙事詩
🎸「ネオクラシカル・メタルの真髄を、あなたはもう体験しましたか?」
今回は、ギター界の皇帝イングヴェイ・マルムスティーンが1997年に放った金字塔『Facing The Animal』を、演奏・音像・楽曲・歴史的意義まで深掘りしながらご紹介します。
🎼 90年代末期、疾走する孤高のメタル
90年代といえば、グランジやオルタナの波がメタルを包み込んだ時代。そんな中でイングヴェイは、真っ向から己の信念を貫き、“内なる獣”との対話をテーマとしたこのアルバムをリリースします。
ヴォーカルにはマッツ・レヴィン(元TREAT)、ドラムにはコージー・パウエル──そう、レインボー、MSG、ホワイトスネイクを渡り歩いた“雷鳴のドラマー”が参加したことで、本作は多くのファンにとって**伝説となるラスト・レコーディング**にもなりました。
🎸 イングヴェイのプレイ:技巧と情感の美しき融合
クラシカルな構成美と“泣き”の感情表現
イングヴェイのギターは、このアルバムで技巧の速さよりも“メロディの深み”へと軸足を移しています。特に「Alone In Paradise」や「Like An Angel - For April」では、ワイドビブラートとサステインを駆使し、“ギターが泣く”という表現がぴったりの情緒をたたえています。
楽曲ごとのハイライト
曲名 | 特徴的なギタープレイ |
Braveheart | スウィープとクラシカルフレーズが融合した威風堂々たる開幕。 |
Facing The Animal | 哀愁のメロディが軸。中域の密度あるソロにイングヴェイの円熟を感じる。 |
Air on a Theme | ヴィヴァルディのクラシックをモチーフに、繊細なタッチとトーンが際立つ珠玉のインスト。 |
🥁 コージー・パウエルのプレイ:重力のような説得力
本作におけるコージーのドラムは、単なるバックビートではなく“アルバム全体を背負ったリード楽器”とも言える存在感。スネアの重厚感、埋めすぎないフィル、ダイナミクスの使い分け──すべてが計算され尽くしながらも、人間味あふれる熱が宿っているのです。
曲名 | ドラミングの注目ポイント |
Braveheart | 開幕を飾るタム回し+刻みの鋭さが見事に決まる。 |
Enemy | 硬質なグルーヴと流れるようなフィルが絶妙に配置。 |
Only The Strong | 大作の中での緩急表現とハイハットのコントロールが秀逸。 |
この作品を最後に、コージーは1998年4月に突然の事故で帰らぬ人に──
『Facing The Animal』は、彼がメタルに刻んだ最後の“咆哮”なのです。
🎧 おすすめポイントまとめ
- 感情的なギター表現と構成力が輝くイングヴェイの進化形
- コージー・パウエルの最晩年の名演を収録した貴重なアルバム
- 美しさと激しさ、哀愁と覚悟が同居するドラマティックな展開
- リスナーの“内面との対話”を促すような深いメッセージ性
🎯 こんなあなたに刺さる1枚!
✔ イングヴェイ作品の“歌心”に注目したい人
✔ 哀愁あるバラードで感情を揺さぶられたい人
✔ コージー・パウエル最後の叩きっぷりを耳に焼きつけたい人
✔ テクニカルだけではない“語るギター”に惹かれる人
🌌 まとめ:鋼鉄の魂が叫ぶ、永遠のギター叙事詩
『Facing The Animal』は、速弾きやクラシックの引用にとどまらず、人間の苦悩・再生・覚悟を描く音楽作品です。
だからこそ、“演奏技術の展示”ではなく、“人生の鏡”として響き続けるのでしょう。
ぜひ、今こそこの作品を再生し、イングヴェイとコージーの魂の対話に耳を傾けてみてください。
きっと、あなたの中にも“獣”と向き合う勇気が芽生えるはずです。