Whitesnake『Live: In the Shadow of the Blues』
魂を揺さぶるライブの記憶が、今も熱く蘇る――その瞬間を刻んだ2枚組アルバム
2006年、あの熱狂のステージを体験できなかった人にとっても、『Live: In the Shadow of the Blues』は「疑似体験」の極致でした。ステージとオーディエンスの高揚、そしてデヴィッド・カヴァデールの魂の叫び——それらが封じ込められたこの作品は、単なるライブアルバムではなく、情熱と時間を超えて心に訴えかける記録です。しかも、そこに新章の始まりを告げる4曲のスタジオ新録曲まで加わるとは…往年のファンにも、新世代のリスナーにも開かれた、まさに“架け橋”のような一作なのです。
なぜこのライブ盤が今も語り継がれるのか?
心を掴む「歌」──変わらぬ魂、変化を受け止めた声
全盛期とは異なる響き。けれどその裏にある経験と覚悟に、私はむしろ感動させられました。「昔より声が出ていない」という意見も耳にしますが、それが何だというのでしょう。年輪のように刻まれた渋さと温かみが宿るその声は、むしろ今だからこそ心を震わせる。あの日のカヴァデールは、今この瞬間もスピーカーの向こうで、変わらぬ情熱を放ち続けています。
ライブという“対話”──演奏と観客が生む共鳴
収録された楽曲は、バンドの代表曲ばかり。「Slide It In」「Still of the Night」など、時代を超えて愛されるナンバーがライブならではのアレンジで甦ります。タイトなリズム、メリハリあるギターリフ、観客との一体感に導かれるシンガロング——そのどれもが、音源以上の“臨場感”を生み出しています。ここに記録されているのは、ただの演奏ではありません。それは、音楽を媒介とした“生身の対話”そのものです。
新たな息吹──スタジオ録音の4曲が意味するもの
Disc 2に収録された4つの新曲(「Ready to Rock」「If You Want Me」ほか)は、当時のWhitesnakeがただの懐古主義ではなかったことを物語っています。サウンドはどこかモダンでありながら、根底にあるハードロックのスピリットは不変。ライブの熱狂をそのまま持ち帰ってきたかのようなフレッシュな衝撃があります。「過去の名声に安住しないバンド」──それがこのアルバム最大の証明かもしれません。
アルバム詳細データ
基本情報 / Basic Information
| 項目 / Item | 内容 / Details |
| リリース日 / Release Date | 2006年11月24日(欧州) / 2007年6月27日(日本) |
| ジャンル / Genre | ハードロック、ブルースロック |
| レーベル / Label | SPV/Steamhammer(欧州)、Warner Music Japan(日本) |
| 収録曲数 / Number of Tracks | 25曲(Disc 1: 13曲、Disc 2: 12曲) |
| 総再生時間 / Total Runtime | 約131分27秒 |
トラックリスト / Track Listing
Disc 1 – ライブ音源
| # | 曲名 / Song Title |
| 1 | Bad Boys |
| 2 | Slide It In |
| 3 | Slow an' Easy |
| 4 | Love Ain't No Stranger |
| 5 | Judgement Day |
| 6 | Is This Love |
| 7 | Blues for Mylene '06 |
| 8 | Snake Dance '06 |
| 9 | Crying in the Rain |
| 10 | Ain't No Love in the Heart of the City |
| 11 | Fool for Your Loving |
| 12 | Here I Go Again |
| 13 | Still of the Night |
Disc 2 – ライブ音源+新曲(Studio Tracks)
| # | 曲名 / Song Title |
| 1 | Burn - Stormbringer |
| 2 | Give Me All Your Love Tonight |
| 3 | Walking in the Shadow of the Blues |
| 4 | The Deeper the Love |
| 5 | Ready an' Willing |
| 6 | Don't Break My Heart Again |
| 7 | Take Me with You |
| 8 | Ready to Rock(新曲) |
| 9 | If You Want Me(新曲) |
| 10 | All I Want Is You(新曲) |
| 11 | Dog(新曲) |
| 12 | Crying in the Rain(日本盤ボーナストラック) |
メンバー / Personnel
| 名前 / Name | 担当楽器・役割 / Instrument & Role |
| David Coverdale | Lead Vocals |
| Doug Aldrich | Guitar, Backing Vocals |
| Reb Beach | Guitar, Backing Vocals |
| Uriah Duffy | Bass, Backing Vocals |
| Timothy Drury | Keyboards, Backing Vocals |
| Tommy Aldridge | Drums |
この作品が持つ「今だからこそ」の価値とは
- 2006年のワールドツアー音源を中心に、日本公演の熱気も収録。
- 一部媒体では「90年代以降のライブ作品の中でも最高峰」と称賛(Metal Hammer誌 6/7)。
- 2025年春リリースの『Access All Areas: Live』ボックスセットにてハイレゾ・マスター音源収録予定。
ラストメッセージ:その一音一音が、人生を語る
あの時代、Whitesnakeの音が胸を貫いた瞬間がある人なら、きっとこのアルバムに心を揺さぶられるはずです。そして今、それを初めて聴く若いリスナーにとっても、“本物”のライブの魅力がここにあります。年齢や時代を越えて、魂でつながる音楽の力を、この『Live: In the Shadow of the Blues』はまざまざと証明してくれるのです。

