🎸MSG『PERFECT TIMING』──メロディックHRの転換点を今読み解く
音楽との出会い、それが「完璧なタイミング」だった
夕暮れ時、ラジオから流れてきたギターリフが胸を撃ち抜いた…そんな記憶、ありますよね?『PERFECT TIMING』は、まさにそんな「タイミング」で届いた一枚でした。1987年の発売当時、私たちはHR/HMの黄金期に身を置いていましたが、そのなかでこのアルバムはひときわ異彩を放っていたのです。
それまでのMSGとは違う、よりメロディアスで洗練されたサウンド。当時の私は、この変化を「シェンカーが次の時代へと歩み出した証」と捉えました。そして今、当時の空気を知る同世代はもちろん、新たにHR/HMの世界に触れる若い世代にも、ぜひこの作品の魅力を知ってほしいと思うのです。
📌基本情報──『PERFECT TIMING』を紐解く
| 項目 / Item | 内容 / Details |
| リリース日 | 1987年10月12日 |
| ジャンル | Hard Rock, Glam Metal |
| レーベル | Capitol / EMI |
| 収録曲数 | オリジナル10曲+2000年日本盤ボーナス2曲 |
| 総再生時間 | 約42分57秒 |
トラックリスト
| # | 曲名 / Song Title |
| 1 | Gimme Your Love |
| 2 | Here Today-Gone Tomorrow |
| 3 | Don't Stop Me Now |
| 4 | No Time for Losers |
| 5 | Follow the Night |
| 6 | Get Out |
| 7 | Love Is Not a Game |
| 8 | Time |
| 9 | I Don't Wanna Lose |
| 10 | Rock 'Til You're Crazy |
| 11 | Gimme Your Love (Edit) ※リマスター盤 |
| 12 | Follow the Night (Edit) ※リマスター盤 |
メンバーと参加ミュージシャン
| 名前 / Name | 役割 / Role |
| Robin McAuley | Lead Vocals |
| Michael Schenker | Lead Guitar |
| Mitch Perry | Rhythm Guitar, Additional Lead Guitar (Tr.1&6), Backing Vocals |
| Rocky Newton | Bass Guitar, Backing Vocals |
| Bodo Schopf | Drums |
| Steve Mann | Keyboards, Rhythm Guitars |
🔉音質・アレンジ──変化を恐れないMSGの決断
『PERFECT TIMING』でマイケル・シェンカーが目指したのは「弾きまくるギターヒーロー」からの脱却です。派手さよりも楽曲の完成度を優先する、職人技とも言えるギターワーク。それに呼応するように、ロビン・マッコーリーの透明感あるヴォーカルが心地よく響き、アルバム全体がポップかつ洗練されたHRへと昇華されています。
2000年のEMI日本盤リマスターでは、解像度の高い音像が蘇り、伊藤政則氏のライナーノーツも秀逸。2012年の海外盤リマスターでは16ページのブックレットが付属し、資料的価値も高まっています。
🌍時代と文化──80年代後半、HRのメロディ化が加速した理由
80年代後半――LAメタルが台頭し、HR/HMはよりキャッチーで聴きやすい方向へとシフトしていきました。そんな中で、『PERFECT TIMING』はMSGというブランドに新たな風を吹き込んだ作品でした。
従来のMSGのイメージに囚われず、ロックの普遍性と歌心を重視したこのアルバムは、当時のHRファンだけでなく、FMラジオ世代にも響いたのです。実際に「Gimme Your Love」は米Mainstream Rockチャートで40位を記録し、ドイツや北欧でも好評を得ました。
商業成績
| 地域 / Region | チャート順位 / Chart Position |
| US Billboard 200 | 95位 |
| US Mainstream Rock | 40位(Gimme Your Love) |
| UK Singles | 79位(Love Is Not a Game) |
| Germany | 37位 |
| Sweden | 21位 |
| Finland | 22位 |
💡私のおすすめ──この一音に心を奪われた
私が最も心を動かされたのは、アルバム1曲目「Gimme Your Love」。イントロから炸裂するミッチ・ペリーとのギターの掛け合いが見事で、マイケルのギターが「語る」ように歌っています。さらに「Follow the Night」では、夜の静けさと疾走感が絶妙に融合し、ドライブ中のBGMに何度も選んだ思い出があります。
この作品をリアルタイムで聴き、何度もカセットを巻き戻してフレーズを追った日々――その記憶が今も音とともに蘇ります。
🚩まとめ──今こそ再発見したい『PERFECT TIMING』
ハードロックは、「激しさ」だけではない。『PERFECT TIMING』は、HRの奥深さと、時代を越えて生き残るメロディの力を教えてくれる一枚です。もしあなたがこの作品をまだ知らないなら、今こそ「完璧なタイミング」です。SpotifyやCDリイシュー、各種レビューでぜひ一度触れてみてください。
最後に
私はこの時代、HR/HMの奔流をリアルタイムで浴びて育ちました。音楽は人生の記憶を紡ぐもの──そして『PERFECT TIMING』は、その記憶のひとつです。
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