🧨 アンスラックス『State of Euphoria』:スラッシュメタルの奥深さに気づかせてくれる、隠れた名盤
聴き込むほどに魅力が増す、その理由を今こそ語りたい
スラッシュメタル四天王の一角——アンスラックス(Anthrax)が1988年に世に放った『State of Euphoria』。世代や嗜好によっては「派手さが足りない」と感じる方もいるかもしれません。しかし、HR/HMを浴びるように聴いて育ってきた筆者にとって、このアルバムは「聴けば聴くほど味が出る」典型的なスルメ盤です。
何度も耳を傾けることで、リフの構造美や彼らが持つユーモア・知性がじわじわと染み渡ってくる——そんな経験を、多くの読者にしていただきたいと思っています。
🎼 基本情報:スラッシュ黄金期に放たれた一枚の挑戦
| 項目 / Item | 内容 / Details |
| リリース日 / Release Date | 1988年9月19日 |
| ジャンル / Genre | Thrash Metal |
| レーベル / Label | Megaforce / Island Records |
| 収録曲数 / Number of Tracks | 10曲(オリジナル盤) |
| 総再生時間 / Total Runtime | 約52分47秒 |
🎵 トラックリスト / Track Listing
| # | 曲名 / Song Title |
| 1 | Be All, End All |
| 2 | Out of Sight, Out of Mind |
| 3 | Make Me Laugh |
| 4 | Antisocial |
| 5 | Who Cares Wins |
| 6 | Now It's Dark |
| 7 | Schism |
| 8 | Misery Loves Company |
| 9 | 13 |
| 10 | Finale |
👥 メンバー / Personnel
| 名前 / Name | 担当楽器・役割 / Instrument & Role |
| Joey Belladonna | Lead Vocals |
| Dan Spitz | Lead Guitar, Backing Vocals |
| Scott Ian | Rhythm Guitar, Backing Vocals |
| Frank Bello | Bass, Backing Vocals |
| Charlie Benante | Drums |
🎻 追加ミュージシャン / Additional Musicians
| 名前 / Name | 担当楽器・役割 / Instrument & Role |
| Carol Freedman | Cello |
📀 音質とパッケージの深化:リマスター盤で再評価される魅力
2018年の30周年記念盤では、オリジナルアルバムのリマスター音源に加えて、B面やライブ音源、Charlie Benanteによるアーカイブ素材「Statements of Euphoria」が収録されています。リスナーにとっては、バンドの哲学とサウンド設計を体感できる貴重な機会です。
さらに、LP盤はカラー仕様(赤×黄)とブラック盤でリリースされ、アートワークの復刻やツアーポスターの付属など、視覚面でも楽しめる構成になっています。
🎧 楽曲レビュー:じっくり味わいたい珠玉の3曲
Be All, End All
クラシカルなチェロが導くイントロは、スラッシュメタルの常識を覆す美しさ。「静」と「動」を見事に使い分けた構成で、バンドの音楽的懐の深さが際立ちます。リフの切れ味とボーカルの情感が重なり、まさに“始まり”にふさわしい一曲です。
Antisocial
フランスのTRUSTのカバーながら、完全にAnthraxの代表曲として昇華。原曲の反骨性を維持しつつ、パンキッシュな爆発力とライブ映えする中毒性を加味したアレンジは彼らならでは。反社会的とは何か?を音で問いかける、時代を超えた名曲です。
Finale
アルバムのクロージング曲として、総決算的な壮大さを誇る一曲。Dan Spitzのギターソロは哀愁とエネルギーのバランスが絶妙で、Joey Belladonnaのボーカルがここに来て最大の熱量を放つのも感動的。まさに“終わり方”を美しく決める、Anthrax流の美学です。
⏳ 時代と文化を映す鏡としての『State of Euphoria』
1988年は、スラッシュメタルが成熟と拡張を迎えた年。その中で『State of Euphoria』は、ただ攻撃的なだけでなく、社会批評や人間の内面にも光を当てる作品として異彩を放ちました。たとえば「Who Cares Wins」では、ホームレス問題への言及があり、メタルで社会を語る姿勢が感じられます。
若い世代にも伝えたいのは、音の隙間に宿る知性と情感。速さや重さだけがメタルじゃないと、彼らは示してくれています。
🧭 筆者の記憶とおすすめポイント
リアルタイムでHR/HMを浴びてきた筆者にとって、このアルバムは「馴染みやすさ」より「発見の多さ」が光る一枚でした。何度も聴き直すたびに、「Schism」の緻密なリフ構造、「Now It's Dark」の陰鬱な美しさなどが浮かび上がります。
若い頃には気づけなかった静かな激しさと、音に宿る思索性——今だからこそ、受け止められる表現があります。
📊 商業的成績と評価
| 地域 / Region | チャート順位 / Chart Position |
| 米国 Billboard 200 | 30位 |
| 英国 Albums Chart | 12位 |
| ドイツ | 15位 |
| フィンランド | 4位 |
| カナダ | 87位 |
| オーストラリア | 82位 |
- RIAA認定:1989年2月8日、米国でゴールド(50万枚以上)を達成

