🌟Thin Lizzy『Dedication』―あの頃の熱が、今も胸を焦がす
はじめに:音楽が“時間”を超える瞬間
ふとした瞬間に耳にしたギターのフレーズ。それだけで、遠い昔の記憶が鮮やかに蘇ることがあります。Thin Lizzyの『Dedication』は、そんな魔法のようなアルバム。
このベスト盤は、ただの懐かしさではなく、今だからこそ響く“魂の記録”。リアルタイムでHR/HMを浴びて育った私にとって、Phil Lynottの声は、今も“生きている”と感じさせてくれます。
📀基本情報:『Dedication: The Very Best of Thin Lizzy』
項目 | 内容 |
リリース日 | 1991年2月4日 |
ジャンル | ハードロック / ブルースロック |
レーベル | Vertigo Records(UK) / Mercury(US) |
収録曲数 | 18曲 |
総再生時間 | 約74分 |
フォーマット | CD / デジタル配信 / VHS映像版あり |
🎼トラックリストと楽曲レビュー
# | 曲名 | 備考・レビュー |
1 | Whiskey in the Jar | 伝統曲をロックに昇華。初期の代表曲。 |
2 | The Rocker | 「俺はロッカーだ」と叫ぶ、若きLynottの宣言。 |
3 | Jailbreak | ツインギターが炸裂する名曲。 |
4 | The Boys Are Back in Town | 夏の記憶を呼び起こすアンセム。 |
5 | Don't Believe a Word | 短く鋭い、Lynottの“本音”が詰まった一曲。 |
6 | Bad Reputation | バンドの荒々しさと緻密さが融合。 |
7 | Dancing in the Moonlight | 軽快なベースとサックスが心地よい。 |
8 | Rosalie / Cowgirl's Song (Live) | Bob Segerの名曲をライブで再構築。 |
9 | Still in Love with You (Live) | 感情の深さが滲むバラード。 |
10 | Emerald (Live) | ケルトの風を感じる壮大なライブ演奏。 |
11 | Waiting for an Alibi | Gary Mooreとの共演が光る名曲。 |
12 | Do Anything You Want To | 自由への賛歌。 |
13 | Sarah | Lynottの娘への愛情が込められた優しい曲。 |
14 | Parisienne Walkways | Gary Mooreとの美しいギター対話。 |
15 | Chinatown | アジア的なエッセンスを感じる異色作。 |
16 | Killer on the Loose | ダークで挑発的な一曲。 |
17 | Out in the Fields | 戦争と平和をテーマにした重厚な楽曲。 |
18 | **Dedication** | 未発表曲。Lynottの“遺言”とも言える感動作。 |
🎤未発表曲「Dedication」―静かなる叫び
この曲は、Phil Lynottの死後に発掘されたGrand Slam時代のデモ音源を元に、Scott GorhamとBrian Downeyが再構築したもの。
Laurence Archerの手によるメロディは、静かでありながら力強く、Lynottの声がまるで今も生きているかのように響きます。
「Dedication=献身」というタイトルが、バンドとファンの絆を象徴しているようで、聴くたびに胸が熱くなります。
🕰文化的・世代的な意義:Thin Lizzyが残したもの
70年代の英国・アイルランドは、社会的にも音楽的にも揺れていた時代。そんな中でThin Lizzyは、叙情と反骨を併せ持つ“語り部”としてのロックを体現しました。
今の若い世代にも、SpotifyやYouTubeを通じて彼らの音楽が届いているのは、時代を超えた“物語性”があるからだと思います。
💬筆者のおすすめ:心に残る瞬間
「Still in Love with You」のライブ版は、初めて聴いたとき涙が止まりませんでした。ギターが語り、ベースが支え、Lynottの声が心を抱きしめてくれるような感覚。
そして「Dedication」は、まるで彼が「ありがとう」と言ってくれているような気がします。音楽って、こんなにも人の心に寄り添えるんですね。
🔗まとめ
このアルバムは、Thin Lizzyの歴史を辿るだけでなく、聴く人それぞれの人生に寄り添う“献身の記録”でもあります。