基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| リリース日 | 1996年5月14日 |
| ジャンル | オルタナティブ・ロック、グランジ |
| レーベル | Mercury Records |
| 収録曲数 | 12曲 + ボーナスライブトラック |
| 総再生時間 | 45分58秒 |
Track listing
| # | 曲名 |
|---|---|
| 1 | TRUTH? |
| 2 | TURN TO DUST |
| 3 | SLANG |
| 4 | ALL I WANT IS EVERYTHING |
| 5 | WORK IT OUT |
| 6 | BREATHE A SIGH |
| 7 | DELIVER ME |
| 8 | GIFT OF FLESH |
| 9 | BLOOD RUNS COLD |
| 10 | WHERE DOES LOVE GO WHEN IT DIES |
| 11 | PEARL OF EUPHORIA |
| 12 | MOVE WITH ME SLOWLY |
ACOUSTIC IN SINGAPORE (Live)
| # | 曲名 |
|---|---|
| 1 | ARMAGEDDON IT |
| 2 | TWO STEPS BEHIND |
| 3 | FROM THE INSIDE |
| 4 | ANIMAL |
| 5 | WHEN LOVE & HATE COLLIDE |
| 6 | POUR SOME SUGAR ON ME |
Personnel
| 名前 | 担当楽器・役割 |
|---|---|
| JOE ELLIOTT | ボーカル |
| RICK SAVAGE | ベース |
| PHIL COLLEN | ギター |
| RICK ALLEN | ドラム |
| VIVIAN CAMPBELL | ギター |
Additional musicians
| 名前 | 担当楽器・役割 |
|---|---|
| Pete Woodroffe | キーボード、プログラミング |
このアルバムは、Def Leppardの音楽的な方向性に大きな変化をもたらした作品であり、グランジやオルタナティブ・ロックの要素を取り入れたサウンドが特徴です。プロデューサーのPete Woodroffeとバンドが共同で制作を手がけ、従来のスタイルとは異なるアプローチが試みられています。
DEF LEPPARD『Slang』―時代の変化と向き合った挑戦作を今聴く
1996年、DEF LEPPARDがリリースしたアルバム『Slang』。当時の音楽シーンは大きな変化の真っ只中で、ハードロックやヘヴィメタルがかつての勢いを失い、グランジやオルタナティブ・ロックが台頭していました。そんな時代に登場したこのアルバムは、バンドの新たな挑戦を象徴する作品であり、ファンに驚きと戸惑いをもたらしました。
従来のDEF LEPPARDとは違う、新たな音作り
DEF LEPPARDといえば、緻密に作り込まれたサウンドと分厚いコーラスワークが特徴ですが、本作はそれまでのスタイルとは異なります。煌びやかで重厚なプロダクションを控えめにし、生々しいバンドサウンドを前面に押し出したことで、よりシンプルでオーガニックなアプローチが際立っています。
具体的には、ギターのトーンが従来よりも荒削りになり、よりダイレクトな響きを持つようになりました。ボーカルのミックスも過去作品ほど厚く重ねられておらず、Joe Elliottの声の質感がダイレクトに伝わります。さらに、リック・アレンが通常のドラムセットへ回帰したことで、サウンド全体のグルーヴがより自然になり、機械的な打ち込みの要素が少なくなっています。
「TRUTH?」の衝撃とアルバム全体の流れ
アルバムのオープニング「TRUTH?」が流れた瞬間、多くのリスナーが驚いたのではないでしょうか。ヘヴィながら乾いたリフ、グルーヴィーなビート、そして憂いを帯びたボーカル――まるで当時のオルタナティブロックやグランジの流れを感じさせる仕上がりです。この曲を冒頭に配置したことで、『Slang』の印象は大きく変わり、リリース当時は「DEF LEPPARDまで時流に乗ったのか」と話題になりました。
しかし、アルバムを通して聴き進めると、彼らの持ち味はしっかり息づいています。「Slang」や「Work It Out」では、キャッチーなメロディと美しいコーラスワークが健在で、やはりDEF LEPPARDらしさを感じさせてくれる楽曲です。変化はあれど、メロディの良さは揺るぎません。
制作背景とメンバーの言葉
本作の制作にはPete Woodroffeがプロデューサーとして参加し、バンドとともに新たな音作りを模索しました。Phil Collenは後のインタビューで「当時は新しいことに挑戦したい気持ちが強かった」と語り、Joe Elliottも「変化は必要だった。これが俺たちのリアルな音楽だ」と話しています。彼らにとって『Slang』は、流行に迎合するものではなく、自分たちの音楽的探求心を反映したアルバムだったのです。
当時の評価とリスナーの反応
発売当時、『Slang』はファンの間で賛否が分かれました。音楽誌 Kerrang! では「大胆な進化」と評価された一方、古くからのファンの中には「これこそがDEF LEPPARDの音か?」と戸惑う声もありました。チャートの動向を見ると、全米 Billboard 200 では14位と、過去の作品ほどのヒットには至らなかったものの、バンドにとって重要な転換点となったアルバムとして認識されています。
年月が経ち、今改めて聴くと、このアルバムが持つ価値や挑戦の意義がより明確になってきます。バンドは決して流行に飲み込まれたわけではなく、新たな表現を追求し、時代に通じる音を探していたのだと感じられます。
ライブ演奏との比較―アコースティックの魅力
スペシャル盤に収録された『ACOUSTIC IN SINGAPORE (Live)』は、楽曲の力を改めて実感させてくれるトラックです。特に「Two Steps Behind」や「When Love & Hate Collide」のアコースティック版では、メロディの美しさが際立ち、シンプルな編成の中でも曲の魅力がしっかりと伝わります。
アコースティックライブでは、スタジオ版に比べてアレンジがよりストレートに伝わり、バンドの本質的な音楽性を感じ取ることができます。『Slang』の楽曲は、こうしたライブアレンジによって、より新しい視点で聴くことができるのも興味深い点です。
まとめ
『Slang』は、DEF LEPPARDのキャリアの中でも異色の作品ながら、バンドの音楽的探求心が詰まったアルバムです。
- 従来の煌びやかなサウンドではなく、生々しさを重視したアプローチ
- ギターのトーンやミックスの変化でよりオーガニックな音作り
- メンバー自身も「新たな表現の模索」と語る音楽的挑戦
- 時間が経った今だからこそ、その意義を再評価できる
「時代とともに変化する」ことは、アーティストとしての自然な歩みとも言えるでしょう。その変化の中でも、DEF LEPPARDらしさを保ち続けていることが、本作の最大の魅力ではないでしょうか。

