2024年7月12日発売
Track listing
- Good Luck Trying
- I Am You
- Right Outta Here
- Sunday Morning Kinda Girl
- Who We Are
- As Good As It Gets
- What Were You Thinking
- Courageous
- Up On You
- The Frame
- See No Okapi (instrumental - Japan bonus track)
Personnel
- Eric Martin – lead vocals
- Paul Gilbert – guitar
- Billy Sheehan – bass guitar
- Nick D'Virgilio – drums
MR.BIG最新作『TEN』レビュー:クラシックロックへの回帰と新たな進化
MR.BIGが2024年にリリースした最新アルバム『TEN』は、バンドの円熟味が際立つ作品です。先行公開された『Up On You』のミュージックビデオを見た際には、キャッチーでブルージーな方向性が示されていましたが、アルバム全体を通して聴くと、それ以上に60年代後半から70年代のクラシックロックのエッセンスが強く感じられます。
この変化により、かつてのテクニカルでアグレッシブなMR.BIGを期待していたファンの中には、少し物足りなさを覚える人もいるかもしれません。しかし、楽曲のクオリティは圧倒的に高く、バンドの音楽的な成熟が強く反映されています。各曲のメロディの美しさ、演奏技術の高さは、長年のキャリアによって磨き上げられたものです。
新たなドラマー、ニック・ディヴァージリオの魅力
2023年に惜しくも逝去したパット・トーピーに代わり、本作ではニック・ディヴァージリオがドラムを担当。彼のプレイスタイルはパットのパワフルなドラミングとは異なりますが、楽曲に深みをもたらし、新たな可能性を提示しています。楽器のアレンジはよりグルーヴィーになり、バンド全体のアンサンブルに新しい息吹を吹き込んでいます。
MR.BIGの進化と『TEN』の魅力
往年のMR.BIGのような圧倒的なアグレッシブさは影を潜めていますが、アルバム全体をじっくりと聴き込むことで、楽曲の深みやバンドの成長を感じ取ることができます。本作は、単なるハードロックではなく、クラシックロックへの敬意と新たな挑戦が込められた作品です。
まとめ
MR.BIGの最新アルバム『TEN』は、60年代後半~70年代ロックへの愛情と、バンドの長いキャリアが融合した円熟味ある作品。新たなドラマー・ニック・ディヴァージリオの加入により、バンドのサウンドは進化し、より洗練されたものへと変貌を遂げています。じっくりと向き合いながら聴くことで、より深く楽しめるアルバムに仕上がっています。

