BON JOVIの『Burning Bridges』は、ロックの歴史に刻まれる“異色の名盤”です。
本記事では、アーティストへの敬意と作品への還元を願いながら、音楽の魅力を世代やメディアを超えて伝える“橋渡し役”としてレビューをお届けします。
Mercury Recordsとの決別、リッチー・サンボラ不在、そしてジョン・ボン・ジョヴィ自身の内省──
この作品に込められた「別れ」と「覚悟」を軸に、BON JOVIの変化とその真意を掘り下げていきます。
- 基本情報
- バンドメンバー
- 収録曲とソングライター
- 【BON JOVI アルバムレビュー】『Burning Bridges』──別れと覚悟を刻んだ異色の1枚、その真意とは?
- 記事情報
- 参考音源
- 通販
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| アルバムタイトル | Burning Bridges (バーニング・ブリッジズ) |
| アーティスト | Bon Jovi (ボン・ジョヴィ) |
| リリース日 | 2015年8月21日 |
| レコードレーベル | Mercury Records |
| カタログナンバー | 0602547508591(欧州版)、UICL-1132(日本版) |
| ジャンル | ロック |
| 収録曲数 | 10曲(日本盤/Walmart限定ボーナストラック含め11曲) |
| 総再生時間 | 40分22秒 |
プロデューサー
- Jon Bon Jovi
- John Shanks
バンドメンバー
| 名前 | 担当楽器・役割 |
|---|---|
| Jon Bon Jovi | リードボーカル、アコースティックギター |
| David Bryan | キーボード、ピアノ、バックコーラス |
| Tico Torres | ドラムス |
追加ミュージシャン
| 名前 | 担当楽器・役割 |
|---|---|
| Hugh McDonald | ベース |
| John Shanks | ギター、バックコーラス |
| Lorenza Ponce | ストリングアレンジメント、ヴィオラ、ヴァイオリン、チェロ(Track 5) |
| Mike Rew | リズムギター、バックコーラス(Track 10) |
レコーディング・ミキシング
| 名前 | 役割 |
|---|---|
| Paul LaMalfa | ミキシング、レコーディング |
| Phil Nicolo | マスタリング |
| Nathan Odden | レコーディングアシスタント |
| Dan Tatarowicz | マスタリングアシスタント |
レコーディングスタジオ
- Henson Recording Studios (ヘンソン・レコーディング・スタジオ) - ハリウッド、カリフォルニア
- Avatar Studios (アバター・スタジオ) - ニューヨーク、ニューヨーク
収録曲とソングライター
| # | 曲名 | 作詞・作曲 |
|---|---|---|
| 1 | "A Teardrop to the Sea" (5:08) | Jon Bon Jovi, Billy Falcon |
| 2 | "We Don't Run" (3:19) | Jon Bon Jovi, John Shanks |
| 3 | "Saturday Night Gave Me Sunday Morning" (3:23) | Jon Bon Jovi, Richie Sambora, John Shanks |
| 4 | "We All Fall Down" (4:04) | Jon Bon Jovi |
| 5 | "Blind Love" (4:47) | Jon Bon Jovi, John Shanks |
| 6 | "Who Would You Die for?" (3:54) | Jon Bon Jovi, Billy Falcon |
| 7 | "Fingerprints" (5:59) | Jon Bon Jovi, Billy Falcon |
| 8 | "Life Is Beautiful" (3:22) | Jon Bon Jovi, Billy Falcon, Chris DeStefano |
| 9 | "I'm Your Man" (3:44) | Jon Bon Jovi |
| 10 | "Burning Bridges" (2:44) | Jon Bon Jovi, John Shanks |
| 11 | "Take Back the Night" (3:42) (日本盤/Walmart限定ボーナストラック) | Jon Bon Jovi, John Shanks |
商業的成績 / Commercial Performance
- アメリカ: Billboard 200で 13位
- 日本: オリコンチャートで 3位
特記事項
- リッチー・サンボラ(Richie Sambora)不在の初めてのアルバム(ただし、「Saturday Night Gave Me Sunday Morning」には共同作曲者としてクレジット)。
- Mercury Recordsとの契約終了を示す最後のアルバム。
- ジョン・ボン・ジョヴィの意図: このアルバムは「ファンアルバム」として位置づけられ、未完成曲、完成済みの曲、新曲が収録。
【BON JOVI アルバムレビュー】『Burning Bridges』──別れと覚悟を刻んだ異色の1枚、その真意とは?
BON JOVIと共に青春を駆け抜けたあの時代。
ラジカセで『Slippery When Wet』を擦り切れるほど聴き、髪を逆立てて「Livin’ on a Prayer」を口ずさんでいた私たちにとって、BON JOVIは単なるバンドではなく、夢や情熱の象徴でした。
そんな彼らが2015年に放った異色作──それが『Burning Bridges』です。
これは単なるアルバムではなく、別れのレターであり、ジョン・ボン・ジョヴィという人間の“決意表明”でもあります。
『Burning Bridges』とは?作品の背景とコンセプト
このアルバムは、BON JOVIが長年所属していたMercury Recordsとの契約終了に際して、「ファンへのプレゼント」としてリリースされた作品です。
しかしその実態は、単なる寄せ集めではなく、業界やレーベルへの怒りと別れ、そして未来への覚悟が刻まれた私的な記録となっています。
- リッチー・サンボラ不在
- レーベルとの決別
- 内省的な楽曲構成
これらの要素が重なり合い、これまでのBON JOVI像を覆すような内容となりました。
『What About Now』(2013)との比較|進化と転換の分岐点
🎸 サウンド面の変化
『What About Now』は“クラシックなBON JOVIらしさ”が健在で、希望に満ちたメロディとアリーナ仕様のアレンジが特徴でした。
特に「Because We Can」や「What About Now」は、前向きで万人に響くロック・アンセムとして仕上げられています。
一方『Burning Bridges』では、よりシンプルかつ内省的なアレンジにシフト。
ギターの主張も控えめで、音の“余白”で感情を語るようなプロダクションに変化しています。
📝 歌詞とテーマの深化
『What About Now』の歌詞は、愛や再生、社会への希望といったメッセージが中心でした。
しかし『Burning Bridges』は、もっと個人的で、別れや怒り、心の痛みと向き合う内容が多く、ジョンのパーソナルな苦悩や決意が色濃くにじみ出ています。
🎛 プロダクションの違い
『What About Now』は豪華なプロダクションで、“大衆向けアルバム”として緻密に設計された作品。
対して『Burning Bridges』は、やや粗削りで、ジョン自身が“言いたいことを言うため”の私家版的アプローチが採られているのが特徴です。
🎙 リスナーへの向き合い方
『What About Now』はファンへの呼びかけと励ましのアルバム。
『Burning Bridges』は、むしろ「自分自身の整理」としての作品。
その違いが、曲の温度感や構成、メッセージ性に如実に表れています。
収録曲レビュー|それぞれの曲が語る「別れ」のかたち
🎶 1. A Teardrop to the Sea
アコースティックとストリングスが美しく絡む、哀愁に満ちたオープニング。
ジョンの抑えたヴォーカルが、“静かな絶望”と“諦念”を描いており、これまでのBON JOVIにはなかった深い余韻が漂います。
🎸 2. We Don't Run
このアルバム唯一の王道ロックナンバー。しかしそのサウンドは硬質で、従来のアリーナロックとは一線を画します。
《We don't run》というフレーズは、ジョン自身に向けた決意表明にも聴こえる。
☀️ 3. Saturday Night Gave Me Sunday Morning
アルバム中もっとも明るく、BON JOVIらしいポップな一曲。
だがその輝きも、どこか過去へのノスタルジーを感じさせます。
🔥 10. Burning Bridges
タイトル曲にして最大の問題作。
《Adios, goodbye, farewell》という繰り返しが、Mercury Recordsへの強烈なメッセージとして響きます。
痛みとユーモアが同居する、怒りの詩。
アルバム全体の印象と評価
『What About Now』が「王道のBON JOVI」であるなら、
『Burning Bridges』は「心の奥底から生まれた異端のBON JOVI」といえるでしょう。
- 外に向かって掲げる希望ではなく、自分の中の痛みと向き合う覚悟
- 派手さや祝祭感はないが、そのぶん等身大の“ジョン・ボン・ジョヴィ”が感じられる
このアルバムは、私たちが知っていたBON JOVIの延長線ではなく、彼らの“過渡期”を映し出す鏡なのです。
こんな人におすすめ
- リッチー脱退後のBON JOVIの進化を知りたい方
- BON JOVIの「素顔」や本音に触れてみたい方
- 『What About Now』との対比で、バンドの変遷を味わいたい方
まとめ|“橋を燃やして”でも進む、その覚悟をあなたへ
『Burning Bridges』は、BON JOVIにとっても、私たちリスナーにとっても、“次に進むための別れ”を描いた作品です。
80年代にBON JOVIに夢を託した私たちは、今、彼らの変化にも向き合わなければならない。
でもその変化の中にこそ、“本物のロックの魂”が宿っているのかもしれません。
あなたの中にある古い橋を、そっと燃やしてみませんか?
その向こうに、また新しい旅が待っているかもしれません。
🎸 BON JOVIの軌跡をもう一度辿ってみませんか?
デビュー作から最新作『Forever』まで──スタジオアルバム、ライブ盤、ベスト盤を網羅したレビューガイドを公開中。時代ごとの音楽性やメッセージの変遷を、感情・記憶・世代軸で丁寧に読み解いています。
本レビューが、作品の熱量や余韻をより深く感じる一助となれば幸いです。
筆者:我楽(がら)
音楽レビューブログ「80’s METALの日々」および姉妹サイト「歌声を編む日々」運営者。HR/HMを中心に、80年代メタルの記憶と衝動を記録するレビューと随想を綴っています。
静かな語り口と細部への配慮を大切に、読者が音楽の記憶にそっと寄り添えるような場を目指しています。技術よりも感性を、速さよりも余韻を──そんな運営スタイルで、心に残るレビューを紡いでいます。
アーティストへの敬意と作品への還元の想いを込め、商業性よりも記憶・衝動・優しさといった“心に残る価値”を重視。音楽への情熱を原動力に、詩的かつ哲学的な語り口で、音楽と記憶を編むようなレビューを心がけています。
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