🎸 TREAT『The Wild Card』レビュー|80年代HR/HMを知る耳で語る、1985への回帰と北欧メロディックHRの現在地
北欧メロディックHRの世界で、TREATという名前は特別な響きを持っています。
80年代の空気を知る世代にとっては、あの頃の煌めきと哀愁を思い出させてくれる存在。
そして今、2025年に届けられた最新作『The Wild Card』は、
「1985のTREATが帰ってきた」
と語られるほど、原点の火種を再び灯した一枚です。
この記事では、
- 1985とのつながり
- 北欧HRの現在地
- 全曲レビュー
- メロディの進化と円熟
を、当時の空気を知る耳で、そして今のリスナーに寄り添う視点で丁寧にお話ししていきます。
どうぞ、ゆっくり読み進めてみてください。
この一枚が、北欧メロディの記憶を呼び覚ます鍵になるかもしれません。
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▼ SETLIST(目次)
📊 TREAT『The Wild Card』作品データと基本情報
| 項目 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 作品タイトル | 『The Wild Card』 | |
| アーティスト名 | TREAT | |
| リリース日 | 2025年10月25日 | |
| ジャンル | メロディック・ハードロック(HR/HM) | |
| レーベル | Frontiers Records | |
| 収録曲数 | 13曲 | |
| 総再生時間 | 約54分 |
🌏 作品概要──『The Wild Card』が放つ核心
TREATは80年代、北欧メロディックHRの中でも“哀愁と煌めき”を両立させた稀有な存在でした。
そのエッセンスが、2025年の最新作で再び息を吹き返しています。
ただし、このアルバムは単なる懐古ではありません。
「あの頃のメロディ」×「今の音像」
が自然に溶け合い、40年近いキャリアを経たバンドだからこそ生まれる深みがあります。
初めて聴いたとき、思わず
「この感じ、久しぶりだな…」
と胸が温かくなる一方で、現代的なアレンジが新鮮に響く。
そんな“時間を超える感覚”を味わえる作品です。
🎧 音像・演奏──哀愁・煌めき・勢いの三位一体
🎸 ギター
Anders Wikströmのギターは、80年代の煌めきを残しつつ、現代的な抜けの良さが際立ちます。
リフの輪郭がくっきりしていて、曲の推進力をしっかり支えている。
🎤 ボーカル
Robert Ernlundの声は、若い頃の勢いとは違う“経験の深み”が宿っています。
特にバラードでの表現力は、年齢を重ねたからこそ出せる温度感。
🎹 キーボード
Pontus Larssonの透明感あるキーボードが、北欧らしい空気を丁寧に照らし出す。
空間の広がりが心地よく、アルバム全体の世界観を形作っています。
🥁 リズム隊
Jamie Borger(Dr)と Pontus Egberg(Ba)の安定感は圧巻。
派手さはないのに、曲のドラマをしっかり支える“職人の仕事”が光ります。
🎛 プロダクション
2025年の音圧・空気感をまといながら、80年代の美学を丁寧に残したミックス。
“懐かしいのに新しい”という絶妙なバランスが、この作品の魅力を決定づけています。
✍️ 歌詞テーマ──ノスタルジーと現在をつなぐ物語
『The Wild Card』の歌詞には、
- 過去へのまなざし
- 人生の節目
- 立ち止まる瞬間
- 再び歩き出す勇気
といったテーマが散りばめられています。
特に「1985」は、
“あの頃の自分”と“今の自分”をつなぐ象徴曲。
ノスタルジーに浸るだけでなく、前へ進むための静かな力を感じさせます。
「Heaven’s Waiting」では、
人生の重みを知る者にしか歌えない深い情緒が宿り、
聴く側の人生経験によって受け取り方が変わるような奥行きがあります。
🕰 文化背景・時代性──1985のTREATと2025のTREAT
80年代の北欧HR/HMは、
- MTVの影響
- メロディ重視の潮流
- アメリカ市場への挑戦
など、独特の熱量に満ちていました。
TREATもその波の中で輝いたバンドのひとつ。
当時の空気を知る耳で聴くと、
「あの頃の火種がまだ消えていなかったんだ」
と感じさせてくれます。
一方で2025年の今、
HR/HMは多様化し、サウンドも進化しています。
その中でTREATは、
“原点を守りながら進化する”
という難しい道を選び、見事に成功しているように思います。
💿 再評価のポイント──“回帰”と“進化”の二重構造
- 1985のエッセンスを丁寧に再構築
- ジャケットアートの象徴性
- 現代的なミックスの透明感
- 初めてTREATを聴く人にも開かれた作品
- 往年のファンには“帰ってきた感”が強く響く
新譜でありながら、
“再評価されるべきアルバム”
という言葉がしっくりくる一枚です。
🎧 全曲レビュー──哀愁・煌めき・勢いを丁寧に味わう13曲
アルバム『The Wild Card』は、曲順の流れがとても自然で、
“通しで聴く心地よさ”が際立つ作品です。
ここでは、1曲ずつ丁寧に触れながら、後半で象徴曲を深掘りしていきます。
北欧メロディックHRの文脈で語るなら、
EUROPE『The Final Countdown』 のレビューとも通じる部分が多く、
あの時代の空気を知る方には特に響くはずです。
→ EUROPE『The Final Countdown』レビュー
1. Out With A Bang
アルバムの扉を勢いよく開く、鮮烈なオープナー。
80年代の煌めきをまといながら、現代的な抜けの良いギターが一気に世界観へ引き込みます。
“帰ってきたTREAT”を最初の数秒で感じさせる、象徴的な一曲。
2. Rodeo
軽快な疾走感と遊び心が同居するロックナンバー。
サビのキャッチーさが心地よく、ライブで映えるタイプの曲です。
アルバム序盤の勢いをさらに加速させる役割を担っています。
3. 1985
ノスタルジーと現在をつなぐ、アルバムの核となる楽曲。
サビの広がりは北欧AORの美学そのもので、メロディの伸びが胸に残ります。
“あの頃”を知る耳にも、初めて聴く若いリスナーにも届く普遍性を持っています。
4. Endeavour
前へ進む意志を感じさせる、ドラマティックなミドルテンポ。
ギターの旋律が曲全体を導き、静と動のコントラストが美しい。
アルバムの中盤を支える重要な一曲です。
5. Hand On Heart
温かいメロディが心に残る、優しいミドルバラード。
Robertの声の柔らかさが際立ち、包み込むような雰囲気があります。
アルバムの流れに“呼吸”を与える曲。
6. Heaven’s Waiting
北欧バラードの真髄とも言える一曲。
静かな導入からサビに向けての広がりが美しく、人生経験を重ねた声の深みが胸に響きます。
この“間の美学”は、浜田麻里『Return to Myself』 のレビューで触れた“余白の美しさ”にも通じるものがあります。
→ 浜田麻里『Return to Myself』レビュー
7. Back To The Future
タイトル通り、時間旅行のような感覚を味わえる楽曲。
80年代のエッセンスを現代の音像で再構築したような、懐かしさと新しさの絶妙なバランスが魅力です。
8. Mad Honey
甘さと刺激が同居する、クセになるロックチューン。
ギターのリフが印象的で、アルバムの中で良いアクセントになっています。
9. Adam & Evil
ややダークな雰囲気をまとった一曲。
TREATの中では珍しいテイストで、アルバムに深みを与える存在です。
10. Your Majesty
荘厳さとキャッチーさが同居する、スケール感のある楽曲。
サビのメロディが耳に残り、ライブ映えしそうな雰囲気があります。
11. Night Brigade
夜の疾走感を描くエネルギッシュなナンバー。
リズム隊の安定感が際立ち、アルバム後半の勢いを支えています。
12. In The Blink Of An Eye
儚さと希望が交差するメロディが印象的。
静かな余韻を残しつつ、アルバムの終盤に向けて気持ちを整えてくれる曲です。
13. One Minute To Breathe
深い呼吸を促すような、静かで美しい締めくくり。
アルバム全体の旅路を優しく終わらせてくれる、余韻の名曲です。
⭐ 象徴曲の深掘りレビュー──アルバムの“心臓部”をもっと味わう
全曲レビューを踏まえたうえで、
ここからは特に印象的な3曲を、少しだけ深く掘り下げていきます。
TREATの魅力が最も濃く宿る部分なので、ゆっくり味わってみてください。
🎵 深掘り①:1985──“記憶”と“現在”をつなぐ象徴曲
「1985」というタイトルは、TREATにとって特別な意味を持っています。
80年代の北欧HR/HMが持っていた“哀愁の輝き”を、現代の音像で再構築したような一曲。
- サビの広がりは、まさに北欧AORの黄金比
- ギターの泣きが、当時の空気を思い出させる
- ボーカルの抑制された表現が、成熟した情緒を生む
この“記憶の揺らぎ”は、
LOUDNESS『Disillusion〜撃剣霊化』 のレビューで触れた“時代を超える音の強さ”にも通じます。
→ LOUDNESS『Disillusion〜撃剣霊化』レビュー
“懐かしさ”だけではなく、
「今の自分が聴くからこそ刺さる」
という不思議な感覚を与えてくれる名曲です。
🎵 深掘り②:Heaven’s Waiting──北欧バラードの真髄
静かな導入から、サビに向けて少しずつ光が差し込むような構成。
この“間の美学”こそ、北欧バラードの真骨頂です。
- キーボードの透明感が空間を照らす
- リズム隊の控えめな支えが、曲の深みを増す
- Robertの声に宿る“人生の温度”が胸に響く
若い頃には気づけなかった感情が、今なら自然に染み込んでくる。
そんな“時間の重なり”を感じさせる一曲です。
🎵 深掘り③:Out With A Bang──アルバムの扉を開く“帰還の合図”
アルバムの最初の数秒で、
「あ、TREATが帰ってきた」
と感じさせる力を持ったオープナー。
- ギターの煌めきが80年代の記憶を呼び覚ます
- 現代的なミックスで輪郭がくっきり
- バンドの“今の勢い”がそのまま音になっている
この曲があるからこそ、
アルバム全体の旅路が自然に始まり、
聴き手の心が一気に作品へと引き込まれていきます。
❤️ ここが熱い!筆者が推す“刺さるポイント”
「1985」のサビの広がり
あの頃の空気を知る耳には、特別な響きがあります。「Heaven’s Waiting」の深い情緒
年齢を重ねたからこそ届くメロディの温度。アルバム全体の“通しで聴ける”構成
曲順の流れが自然で、気づけば最後まで聴いてしまう。
あなたの推し曲も、ぜひ教えてください。
同じ音を好きな人と語り合えるのは、やっぱり嬉しいものです。
🎵 関連レビューと次のリスニングへの誘い
また次回、80’sメタルと共に語り合いましょう。
👨🎤 Personnel(参加ミュージシャン)
| パート | メンバー | 補足(作曲・プロデュースなど) |
|---|---|---|
| Vo | Robert Ernlund | メインボーカル。メロディラインの構築に参加。 |
| Gt | Anders Wikström | バンドの中心的ソングライター。共同プロデュースも担当。 |
| Key | Pontus Larsson | アレンジ面で重要な役割。北欧らしい透明感あるサウンドを形成。 |
| Ba | Pontus Egberg | リズムの土台を支えつつ、楽曲のグルーヴ作りに貢献。 |
| Dr | Jamie Borger | 長年の経験に裏打ちされた安定感。楽曲のダイナミクスを演出。 |
🔊 この音が語るもの
レビューで触れた音源を、耳で確かめてください。
※動画は「TREAT / The Wild Card」公式YouTubeプレイリストより引用
映像とはまた違う“音の表情”を感じてみるのも素敵です。
📀 TREAT『The Wild Card』を手元に
あの日の音を、今、あなたの暮らしへ。
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記事情報
<li><strong>演奏メンバー</strong>:
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<tr><th style="padding: 4px; border: 1px solid #ccc;">パート</th><th style="padding: 4px; border: 1px solid #ccc;">メンバー</th></tr>
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<tr><td style="padding: 4px; border: 1px solid #ccc;">Ba</td><td style="padding: 4px; border: 1px solid #ccc;">Pontus Egberg</td></tr>
<tr><td style="padding: 4px; border: 1px solid #ccc;">Dr</td><td style="padding: 4px; border: 1px solid #ccc;">Jamie Borger</td></tr>
</table>
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<li><strong>収録曲</strong>:Out With A Bang, 1985, Heaven’s Waiting ほか全13曲</li>
<li><strong>テーマ</strong>:北欧メロディの現在地と、ベテランならではの深みを描くレビュー。</li>
<li><strong>著者スタンス</strong>:アーティストへの敬意を大切にし、音楽の魅力を世代を超えて届ける“橋渡し役”として執筆。</li>
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