このEPレコードに針を落とすと、1988年の空気が静かに揺れる。 浜田麻里『Heart and Soul』──それは、記憶と声が刻まれた一枚。
ジャケットと盤面が語る“物質としての記憶”

収録曲とクレジット
1988年9月7日発売のEPレコード。以下の2曲を収録:
Heart and Soul 作詞:浜田麻里 作曲・編曲:大槻啓之
My Tears 作詞:浜田麻里 作曲・編曲:増田隆宣
「記憶の余韻」へ再構成
音楽的転機としての『Heart and Soul』
浜田麻里さんが初めてシングルトップ10入りを果たした記念すべき作品『Heart and Soul』と『My Tears』は、NHKの『1988年ソウルオリンピック』イメージソングとして採用され、オリコンランキングで堂々の7位を記録しました。これらの楽曲は、浜田麻里さんの音楽キャリアにおいて大きな飛躍をもたらしただけでなく、彼女の音楽がさらに幅広い層に認知されるきっかけともなりました。
ポップとメタルの交差点──時代性とサウンドの変遷
1987年発売のアルバム『IN THE PRECIOUS AGE』から徐々に増え始めたポップな楽曲の流れは、1988年のアルバム『LOVE NEVER TURNS AGAINST』でグレッグ・エドワードによるサウンドプロデュースによってピークを迎えます。この流れの中で生まれた『Heart and Soul』は、ハード・ポップのテイストを取り入れながらも、時代にマッチしたキャッチーなサビの繰り返しが特徴で、メタルファンだけでなく多くの一般リスナーをも魅了しました。この楽曲こそが、浜田麻里さんの音楽がメインストリームにも進出する扉を開いた「出世作」といえるでしょう。
『My Tears』──叙情と記憶のバラード
さらに、レコードのB面に収録されていたバラード『My Tears』は、オリンピック中継の感動的なシーンで使用されることが多く、その叙情的な旋律が当時の多くのリスナーに深い印象を与えました。個人的には、この曲が30周年記念ライブで披露された際の圧倒的な破壊力が、今も心に鮮烈に焼き付いています。
私的記憶──青春を象徴する一枚
これらの楽曲は、ただのヒット曲という枠を超えて、浜田麻里さんのキャリアを彩る重要なピースであり、多くの人にとって特別な思い出を呼び起こす1枚となっています。そして、私にとっても『Heart and Soul』と『My Tears』は、青春時代を象徴するかけがえのない作品です。
まとめ:記憶に針を落とす
このEPは、恐らくもう再発されない。だからこそ、記憶の中でこそ鳴り続ける──そんな作品だ。
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参考音源
※動画は「浜田麻里『Heart and Soul』」公式YouTubeより引用
※動画は「My Tears - 浜田麻里」公式YouTubeより引用
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タイトル曲『Heart and Soul』、カップリング曲の『My Tears』は『MARI HAMADA COMPLETE SINGLE COLLECTION』で聞くことが出来ます。
(その他のベストアルバムやLive作品でも聞くことが出来ます)
