STEELHEART『WAIT』──哀愁と情熱が交錯する、90年代HR/HMの静かな名盤
出会いと再発見──“待つ”ことの意味を教えてくれたアルバム
1990年代半ば、HR/HMはグランジの波に押され、表舞台から姿を消しつつあった。だが、そんな時代にも「本物」は静かに息づいていた。STEELHEARTの『WAIT』は、まさにそんな一枚だ。
当時、深夜ラジオから流れてきた「We All Die Young」に心を撃ち抜かれた記憶がある。派手さはないが、魂に直接語りかけてくるような歌声とメロディ。あの頃の感覚を、今の若い世代にも届けたい──そんな想いでこの作品を改めて紐解く。
基本情報:STEELHEART『WAIT』
| 項目 | 内容 |
| リリース日 | 1996年 |
| ジャンル | メロディック・ハードロック/バラード中心 |
| レーベル | Dream Train |
| 収録曲数 | 13曲(再発盤仕様) |
| 総再生時間 | 約58分 |
| 形式 | 日本盤CD(廃盤)、再発盤は輸入盤で入手可能 |
トラックリスト(再発盤)
| # | 曲名 | 時間 | 備考 |
| 1 | We All Die Young | 5:07 | 映画『ROCK STAR』挿入歌としても有名 |
| 2 | Take A Little Time | 3:58 | メロディックな佳曲、AOR的な魅力 |
| 3 | Live To Die | 4:15 | モトリー・クルー風の荒々しさ |
| 4 | Electric Chair | 4:36 | アコースティックとエレクトリックの融合 |
| 5 | Say No More | 5:14 | 哀愁漂うバラード |
| 6 | The Ahh Song | 4:03 | ファンキーなリズムが特徴的 |
| 7 | Cabernet | 3:46 | ジャジーなアプローチが新鮮 |
| 8 | All Your Love | 3:40 | ボーナストラック(再発盤) |
| 9 | Shangrila | 5:12 | 幻想的な世界観を描く |
| 10 | Garden Of Delight | 4:51 | ストリングスが印象的な中盤の山場 |
| 11 | Wait | 4:29 | タイトル曲。エレクトロ要素も含む |
| 12 | Virgin Soul | 4:12 | 哀愁と力強さが交錯する |
| 13 | Forgive Me | 4:06 | アルバムの締めにふさわしい静かな余韻 |
メンバー
| 名前 | 役割 |
| Miljenko Matijevic | ボーカル(圧倒的なハイトーン) |
| Chris Risola | ギター |
| James Ward | ベース |
| John Fowler | ドラムス |
音質・アレンジ・パッケージ:再発盤で蘇るSTEELHEARTの本質
再発盤ではリマスタリングが施され、音の輪郭がより鮮明に。特にMiljenkoのボーカルは、空気を震わせるような迫力と繊細さが際立つ。オリジナル盤に比べて、低音の厚みと高音域の抜けが改善されており、現代のリスニング環境でも十分に楽しめる。
ジャケットはシンプルながら、哀愁漂うアートワークが印象的。
楽曲レビュー:心に残る3曲
🎧 We All Die Young
映画『ROCK STAR』で使用され、若い世代にも知られる代表曲。冒頭から炸裂するMiljenkoのハイトーンは、まさに「魂の叫び」。歌詞は人生の儚さと情熱を描き、聴く者に「今を生きる」ことの意味を問いかける。
🔥おすすめポイント:HR/HMの王道を貫くサウンドと、映画とのシンクロが感動を倍増させる。
🎸 Electric Chair
アコースティックギターのイントロから始まり、徐々にエレクトリックな展開へと移行する構成が秀逸。歌詞は内面の葛藤を描き、まるで心の牢獄からの脱出を試みるような緊張感が漂う。
🎵おすすめポイント:静と動のコントラストが美しく、ライブ映えする楽曲。
⏳ Wait(タイトル曲)
アルバムの核となる一曲。エレクトロニックな要素が加わり、STEELHEARTの新境地を感じさせる。歌詞は「待つこと」の意味を問い、人生の選択や希望を内省的に描く。
💡おすすめポイント:90年代以降のHR/HMの進化を象徴する、知的で感傷的なバラード。
文化的・世代的な意義:90年代HR/HMの静かな抵抗
『WAIT』は、グランジ全盛の時代にあって、HR/HMの美学を静かに守り続けた作品だ。派手なギターソロや過剰な演出ではなく、「歌心」と「情熱」で勝負する姿勢は、80年代HR/HMをリアルタイムで浴びた世代にはたまらない。
そして今、SNSやAIが支配する時代にこそ、この“待つ”というテーマが新たな意味を持つ。焦らず、立ち止まり、心の声に耳を傾ける──そんな時間をくれるアルバムだ。
まとめ
STEELHEART『WAIT』は、単なる再発盤ではない。時代を超えて語り継がれるべき、心に寄り添う名盤だ。あなたにとっての「待つ」時間とは何か──そんな問いを投げかけてくる。
