🌱 はじめに──時代を越えて出会った一枚として
この『CHARGE』に初めて触れたのは、リアルタイム世代ではなく、ずっと後になってからでした。
80年代のHR/HM黄金期をたくさん聴いてきた耳でこの作品に向き合うと、どうしても「少し古いな」と感じる瞬間があります。でも、それは決してマイナスではなくて、むしろ70年代ならではの“生々しい熱”がじんわりと心に残るんです。
聴き込むほどに、当時の空気がふわっと立ち上がってくるようで──
そんな不思議な魅力を持ったアルバムだと、今では愛おしさすら感じています。
▼ SETLIST(目次)
💿 作品データと基本情報
| 項目 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 作品タイトル | 『CHARGE』 | 3rdアルバム |
| アーティスト名 | BOW WOW | 初期4人編成時代 |
| リリース日 | 1977年12月1日 | 日本ロック史の重要年 |
| ジャンル | ハードロック(HR/HM) | 日本初の世界基準サウンド |
| レーベル | ビクター音楽産業(現:JVC) | 当時のメジャーリリース |
| 収録曲数 | 9曲 | 個性が鮮やかに並ぶ |
| 総再生時間 | 約35分 | 凝縮されたロックの衝動 |
⚡ 作品概要──『CHARGE』が放つ核心
『CHARGE』は、デビュー作の荒々しい勢いをそのままに、アレンジやアンサンブルが一段階洗練された“初期の到達点”と呼びたくなる一枚です。
当時はアイドル的に扱われることもあった彼らですが、このアルバムを聴けばそのイメージはすぐに覆ります。
山本恭司と斉藤光浩──二人のギタリストがぶつかり合うように織りなすツインギターは、まるで火花が散るような緊張感を帯びています。
70年代の日本ロックがここまでのクオリティに達していたのかと、今聴いても驚かされる瞬間があるんです。
🎸 音像・演奏──時代を超えて輝くサウンドの深み
アナログ録音ならではの“生々しさ”が、この作品の大きな魅力です。
- ギター:端正でテクニカルな山本恭司、ワイルドでドライブ感のある斉藤光浩。
この対比が楽曲に奥行きを与え、聴くたびに新しい表情が見えてきます。 - ヴォーカル:曲ごとに表情を変えるダブル・ヴォーカル体制。疾走曲での掛け合いは、胸の奥がふっと熱くなる瞬間があります。
- リズム隊:太くうねるベースとタイトなドラムが、ただのハードロックに収まらない推進力を生み出しています。
70年代録音ゆえの音圧の弱さは確かにあります。
でも、その代わりに“空気の震え”がしっかり残っているんです。
真空管アンプの歪みが耳に心地よく、今の音楽とは違う温度を感じさせてくれます。
✍️ 歌詞テーマ──情緒と物語が描く世界観
都会の孤独、自由への渇望、ロックンロールへの誓い──
そんなテーマがアルバム全体を静かに貫いています。
特に印象的なのは、当時の若者が抱えていた「閉塞感から抜け出したい」という切実な想い。
疾走感の裏に漂う哀愁が、今のリスナーにもそっと寄り添ってくるようです。
🌏 文化背景・時代性──70年代末の熱量
1977年末という、パンク台頭とハードロックの過渡期。
その時代の“ざわめき”が、このアルバムにはそのまま閉じ込められています。
MTV以前の時代、限られた情報を頼りに音楽を追いかけていた頃の熱量──
そんな空気感が、今聴いてもふっと蘇るように感じられる瞬間があります。
📀 再評価のポイント──リマスター/ジャケットの魅力
シンプルで力強いジャケットは、今見ても所有欲を刺激します。
紙ジャケット仕様のリマスター盤では、低域の輪郭がより明瞭になり、リズム隊の凄みが再発見できます。
これから手に入れるなら、復刻ライナー付きの紙ジャケ盤がおすすめです。
🎵 全曲解説──『CHARGE』を彩る魂のトラックリスト
1. JET JIVE
アルバム『CHARGE』を象徴する、まさに“日本ハードロックの原点”とも言える疾走ナンバー。
イントロの瞬間から一気に心を掴まれ、70年代ハードロック特有の荒々しさとスピード感が一気に押し寄せます。
ツインギターの切れ味、リズム隊の推進力、そしてアナログ録音ならではの生々しい空気感──BOW WOWの魅力が最初の1分で全部詰まっているような、強烈なオープニングです。
2. MUST SAY "ADIEU"
佐野賢二によるメロディアスな作曲が光る、アルバム屈指の名曲。
タイトルが示す“別れの余韻”が、リフやヴォーカルの哀愁と見事に重なり、ハードロックでありながらどこか人間味のある温度を感じさせます。
中盤のベースソロは、70年代ロックの魅力を凝縮したような存在感で、聴くたびに新しい発見があります。
BOW WOWの多彩さを知るうえで欠かせない一曲です。
3. BLUE EYED LADY
ブルージーな香りと硬派なリフが同居する、70年代ハードロックらしい一曲。
ギターのうねりとヴォーカルの熱量が絶妙に絡み合い、当時の日本ロックシーンが持っていた“洋楽に負けない気迫”を感じさせます。
アルバムの中でも特に“70年代らしさ”が強く残る楽曲で、聴き込むほど味わいが深まります。
4. THE CLOWN
物語性の強い展開が魅力の、ユニークでドラマチックな楽曲。
静と動が交互に押し寄せるような構成で、バンドの多様性をしっかりと感じさせてくれます。
特にギターの泣きと、リズム隊の緊張感ある刻みが曲全体を引き締め、アルバムの中でも異彩を放つ存在です。
“BOW WOWの表現力の広さ”を知るうえで外せない一曲。
5. R'&R' KID
若き日のロックンロールへの誓いを感じさせる、ストレートなハードロック。
勢いだけでなく、ツインギターの絡みやリズムのキレが心地よく、当時のバンドのエネルギーがそのまま封じ込められています。
“ロックキッズ”という言葉が似合う、初期BOW WOWの象徴的なナンバーです。
6. FALLEN LEAVES
アコースティックの繊細な響きが美しい小品。
ハードロックの中にふっと差し込まれる静けさが、アルバム全体の流れに深みを与えています。
70年代ロックの持つ“余白の美学”が感じられ、聴くたびに心が落ち着くような温かさがあります。
7. HEAVY
タイトル通り、地の底から這い上がるような重厚なグルーヴが魅力。
リフの存在感、ドラムの重量感、そしてベースのうねり──すべてが“HEAVY”の名にふさわしい迫力です。
70年代ハードロックのダークな側面をしっかりと味わえる、アルバムの中でも重要な一曲。
8. SISTER SOUL
ソウルフルな歌唱が光る、バンドの音楽的懐の広さを感じさせる楽曲。
ハードロックの枠に収まらない表現力が魅力で、BOW WOWというバンドの多面性を知るうえで欠かせません。
70年代ロックの自由さと、メンバーそれぞれの個性が心地よく溶け合っています。
9. BEHIND THE MASK
アルバムを締めくくる圧巻のインストゥルメンタル。
山本恭司の技巧が存分に発揮され、まるでライブステージを目の前で見ているかのような臨場感があります。
ツインギターの掛け合い、リズム隊のタイトな支え──BOW WOWの“演奏力の高さ”を改めて実感できる、まさに総決算のような一曲です。
70年代ハードロックの魅力を凝縮した、アルバムの締めにふさわしい名演。
❤️ おすすめポイント──“少し古い”のに心に残る理由
『CHARGE』を初めて聴いたとき、朋幸さんのように「あ、70年代らしいな」と感じる瞬間はきっと誰にでもあると思います。
80年代HR/HMの黄金期をたっぷり浴びてきた耳で向き合うと、どうしても音の質感やアレンジに“時代”がにじむんですよね。
でも──その“古さ”が、実はこのアルバムの最大の魅力でもあるんです。
聴き込むほどに、
「当時の空気がそのまま閉じ込められているんだな」
と気づかされる瞬間があって、ふっと胸が温かくなる。
デジタル全盛の今ではなかなか味わえない、
手触りのあるアナログ・ロックの温度感が息づいていて、
BOW WOWというバンドが持つ“生きた衝動”がそのまま伝わってくるんです。
70年代ハードロック特有の荒削りさと、
日本のロックが世界基準へ向かって走り出した頃の熱量。
その両方が、この『CHARGE』にはしっかり刻まれているからこそ──
時間を越えて、今のリスナーの心にもそっと残るのだと思います。
🔗 関連レビュー
『CHARGE』を気に入っていただけたなら、こちらのレビューもきっと楽しんでいただけると思います。
BOW WOWの歩みや、同時代の日本ロックの空気を、そっと辿れる記事を選びました。
● BOW WOW 初期の軌跡をたどる
- 1st『吼えろBOW WOW』レビュー
https://garaosyou.hatenablog.com/entry/hr-hm/review/bow_wow-hoero_bow_wow_album_review - 2nd『SIGNAL FIRE』レビュー
https://garaosyou.hatenablog.com/entry/hr-hm/album-review/soul/bow-wow-signal-fire
初期三部作として『CHARGE』と並べて読むと、バンドの成長や音の変化がより鮮明に感じられます。
● 恭司さんの“その先”へ
- VOW WOW『BEAT OF METAL MOTION』レビュー
https://garaosyou.hatenablog.com/entry/vow_wow-beat_of_metal_motion
BOW WOWからVOW WOWへ──
恭司さんのギターがどのように進化していくのか、自然と興味が湧いてくるはずです。
● 同時代の空気を感じる一枚
- LAZY『宇宙船地球号』レビュー
https://garaosyou.hatenablog.com/entry/lazy-earthship_space_issue
70年代後半の日本ロック/ハードロックの空気を、別の角度から味わえる作品。
『CHARGE』と並べて聴くと、時代の息づかいがより立体的に感じられます。
作品を聴く
※動画は「BOW WOW - CHARGE」公式YouTubeプレイリストより引用
レビューを読んだあとに改めて聴くと、また違った景色が見えてくるかもしれません。
さらに深く楽しむために
気になった方は、こちらから手に取ることもできます。
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