80年代のハードロックには、聴いた瞬間に胸の奥がふっと熱くなるような、あの独特の“温度”がありますよね。派手さや技巧よりも、まっすぐな情熱で勝負していたバンド──その中でもKIX(キックス)は、どこか不器用で、でも誰よりも誠実にロックを鳴らし続けてきた存在でした。
1988年にリリースされた『Blow My Fuse』は、そんな彼らの魅力が一気に花開いた一枚です。煌びやかなLAメタルが全盛だった時代に、KIXはあえて泥臭く、そしてキャッチーに、“胸を揺さぶるロック”を届けてくれました。
音を鳴らした瞬間、まるでライブハウスの扉をそっと開けたような感覚になります。 アンプから吹き出す空気の震え、ステージの熱気、観客のざわめき──そんな“あの頃の空気”が、今でもふわりと蘇ってくるんです。
そして、このアルバムを語るうえで欠かせないのが「Don’t Close Your Eyes」。 哀しみと優しさが同時に胸に広がるような、KIXらしい名曲ですよね。 この曲をきっかけに彼らを知った方も、きっと多いのではないでしょうか。
でも、『Blow My Fuse』の魅力はそれだけではありません。 疾走感のあるR&R、思わず口ずさみたくなるメロディ、そしてどこか人懐っこいエネルギー。 聴けば聴くほど、KIXというバンドの“素顔”が見えてくるような気がします。
──どうしてこのアルバムは、今もなお多くの人の心を揺さぶり続けるのか。
その理由を、音像・歌詞・時代背景の三つの視点から、ゆっくり紐解いていきます。
- 基本情報
- メンバー
- KIXとは?骨太で人懐っこいロックを鳴らし続けたバンド
- 全曲レビュー ── 『Blow My Fuse』を彩る10の物語
- おすすめ曲レビュー ── アルバムの核となる2曲
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- 通販
- 記事情報
基本情報
| 作品名 | Blow My Fuse |
|---|---|
| アーティスト | KIX(キックス) |
| リリース | 1988年 |
| ジャンル | Hard Rock / Glam Metal |
| 代表曲 | Don’t Close Your Eyes / Blow My Fuse / Cold Blood |
| レーベル | Atlantic Records |
メンバー
| Steve Whiteman | Lead Vocals, Harmonica |
|---|---|
| Ronnie “10/10” Younkins | Guitars |
| Brian “Damage” Forsythe | Guitars |
| Donnie Purnell | Bass, Keyboards, Piano, Backing Vocals |
| Jimmy “Chocolate” Chalfant | Drums, Percussion, Backing Vocals |
KIXとは?骨太で人懐っこいロックを鳴らし続けたバンド
KIX(キックス)は、アメリカ・メリーランド州で結成されたハードロックバンドです。LAメタルのような派手さや煌びやかさとは少し距離を置きながら、どこか人懐っこくて、でも芯の強い“骨太のロック”を鳴らし続けてきました。
彼らの魅力は、難しいことをしなくても、音を鳴らした瞬間に気持ちがスッと軽くなるような、そんな素朴でまっすぐなエネルギーにあります。ライブハウスで育ったバンドらしく、ステージの熱気や観客との距離感がそのまま音に宿っているんですよね。
結成からしばらくは大きなブレイクに恵まれませんでしたが、地道なライブ活動を続ける中で少しずつファンを増やし、ついに1988年の『Blow My Fuse』で大きく花開きます。このアルバムに収録された「Don’t Close Your Eyes」は、彼らの代表曲として今も多くのリスナーに愛され続けています。
派手なイメージよりも、汗の匂いがするようなロックが好きな方には、きっとKIXの音がしっくりくるはずです。どこか懐かしくて、でも今聴いても胸がふっと熱くなる──そんな魅力を持ったバンドです。
全曲レビュー ── 『Blow My Fuse』を彩る10の物語
ここからは、アルバムを1曲ずつゆっくり辿っていきます。
KIX の“熱”と“人懐っこさ”がどんなふうに詰まっているのか、あなたと一緒に聴き返すような気持ちで書きました。
🎧 1. Red Lite, Green Lite, TNT
アルバムの扉を開けた瞬間、いきなり火花が散るようなオープニング。
赤と緑のライトがチカチカと誘惑するように揺れ、その裏でリズム隊が“爆発物”のように跳ね回る。
KIX の危なっかしいテンションと、「さあ、ここから始まるぞ」という高揚感が一気に押し寄せてくる一曲です。
🎧 2. Get It While It's Hot
タイトルの通り、“熱いうちに掴みに行け”という勢いがそのまま音になった曲。
スリーコードの潔さが気持ちよく、スティーヴ・ホワイテマンの艶のあるハイトーンがスッと耳に入ってきます。
肩の力を抜いて楽しめる、KIXらしいパーティーチューン。
🎧 3. No Ring Around the Rosie
キャッチーなメロディに、ちょっと皮肉の効いた歌詞。
80’sロックの軽快さと、不器用な恋愛観が同居していて、聴けば聴くほどクセになるタイプの佳曲です。
ふっと笑ってしまうような“人間味”が可愛らしい。
🎧 4. Don’t Close Your Eyes(※詳細レビューあり)
ここでは軽く触れるだけにして、後半でじっくり語りますね。
アルバムの心臓部とも言える名曲です。
🎧 5. She Dropped Me the Bomb
タイトル通り、“爆弾を落とされた瞬間”の混乱をそのまま音にしたような曲。
軽快なノリに見えて、実はビターな後味が残るのがKIXらしいところ。
ギターの切れ味がとにかく爽快で、ライブで聴いたら絶対に盛り上がるタイプ。
🎧 6. Cold Blood(※おすすめ曲)
アルバムの中でも特に“強度”のある一曲。
硬質なリフと、メロディアスなサビの対比がとても気持ちよく、初めて聴いた人でもすぐに覚えてしまうキャッチーさがあります。
AC/DC直系のタフさと、KIX流のファンキーさが絶妙に混ざり合った名曲です。
🎧 7. Piece of the Pie
ブルージーなグルーヴが光るミドルチューン。
欲望や成功を“パイの一切れ”にたとえた歌詞が、80年代の価値観や時代性をふわりと感じさせます。
肩肘張らないけれど、じわっと沁みる一曲。
🎧 8. Boomerang
タイトル通り、“跳ね返ってくる”ようなビートがクセになるスピードチューン。
ギターの切れ味が鋭く、曲展開も予測不能で、ライブで映えるタイプのロックナンバーです。
アルバム後半の勢いをグッと押し上げてくれる存在。
🎧 9. Blow My Fuse(※おすすめ曲・詳細レビューあり)
ここも後半でしっかり語ります。
アルバムの象徴にして、KIXのキャリアを決定づけたタイトル曲です。
🎧 10. Dirty Boys
アルバムを締めくくるにふさわしい、やんちゃでルーズなロックンロール。
クラブ育ちの彼らの“原点”がそのまま詰まっていて、最後にもう一度、KIXの本質を思い出させてくれます。
「やっぱりKIXってこういうバンドだよね」と微笑んでしまうようなエンディング。
おすすめ曲レビュー ── アルバムの核となる2曲
ここからは、アルバムの核となる2曲を、あなたと一緒にゆっくり味わうように深掘りしていきます。
🔥 Blow My Fuse ── 爆ぜる寸前の緊張と、バンドの初期衝動
ミッドテンポのグルーヴに乗せて、“爆発する直前”のような緊張感がじわじわと広がっていきます。
スティーヴ・ホワイテマンのセクシーなヴォーカル、ロニー&ブライアンのギターが絡み合う瞬間、まるで導火線に火がついたように曲全体が熱を帯びていきます。
歌詞は、愛と渇望が高まりすぎて「ヒューズが飛びそう」という、どこか人間味のある心理を描いたもの。
奔放で、刹那的で、でもどこか切ない──80年代ハードロックの美学がぎゅっと詰まった名演です。
🌙 Don’t Close Your Eyes ── 孤独に寄り添う、静かな祈り
アルバム最大のヒットにして、KIXが語り継がれる理由のひとつ。
優しいメロディとドラマティックなアレンジの裏側には、“自分を閉ざさないで、生き続けてほしい”という切実な願いが込められています。
ドラッグ問題や若者の孤独に向けられた救いの歌でもあり、ただのパワーバラードではありません。
十代の不安や夜の静けさに沈みそうな心に、そっと寄り添ってくれるような温度を持った曲です。
サビのフレーズは、祈りのようでいて、強い願いでもあります。
ギターとピアノが寄り添う展開は、80年代バラードの王道でありながら甘すぎず、“派手さの裏にある本音”をそっと浮かび上がらせてくれます。
作品を聴く
※動画は「KIX - Blow My Fuse」公式YouTubeプレイリストより引用
映像とはまた違う“音の表情”を感じてみるのも素敵です。
アルバム全体を通して聴くと、KIXの“熱”と“優しさ”がより深く感じられます。
気になった方は、ぜひ手元に置いてじっくり聴いてみてください。音の表情がまた違って見えてきます。
通販
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記事情報
- タイトル:KIX / Blow My Fuse ── 激情が胸を揺さぶる深掘りレビュー【感想・歌詞考察】
- 公開日:2024年3月22日
- 著者:我楽(音楽レビューブログ運営)
- ブログ名:80’s METALの日々
- カテゴリ:アルバムレビュー
- ジャンル:Hard Rock / Glam Metal
- アーティスト:KIX(キックス)
- リリース日:1988年(US)
- レーベル:Atlantic Records
- 演奏メンバー:Steve Whiteman / Ronnie “10/10” Younkins / Brian “Damage” Forsythe / Donnie Purnell / Jimmy “Chocolate” Chalfant
- 収録曲:Don’t Close Your Eyes / Blow My Fuse / Cold Blood ほか全10曲
- テーマ:80年代ハードロックの“熱”と“人間味”を、音像・歌詞・時代背景から丁寧に読み解くレビュー
- 著者スタンス:アーティストへの敬意と作品への還元を願い、音楽の魅力を世代やメディアを超えて伝える“橋渡し役”として執筆。
- 評価(★):4.9 / 5.0