こんにちは。今日もこのブログに立ち寄ってくださり、ありがとうございます。
今回取り上げる DOKKEN のアルバム『Dysfunctional』 は、
90年代のロックシーンの中で静かに佇むように存在している作品です。
80年代の華やかなHR/HMをリアルタイムで追いかけてきた私にとって、
この“再結成アルバム”は、当時すぐに受け止めきれないほどの変化をまとっていました。
リリースされた90年代半ばは、オルタナティヴやグランジが世界を席巻し、
DOKKENの音にもその影が落ちていた時代。
そのダークで重い質感を、当時の私はなかなか受け入れられず……
気づけば『Dysfunctional』のレビューだけが、ずっと心の中で保留のままになっていました。
けれど、年月を重ねた今あらためて聴き返すと、
このアルバムは決して“暗さ”だけで語れる作品ではなく、
むしろ 誠実で、深く、静かに胸へ染み込んでくる一枚 だったのだと気づかされます。
今日は、そんな「時間をかけてようやく向き合えた一枚」を、
そっと語らせてください。
当時の戸惑いも、今だから感じられる魅力も、どちらも大切にしながら。
▼ SETLIST(目次)
📊 DOKKEN『Dysfunctional』作品データと基本情報
| 項目 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 作品タイトル | 『Dysfunctional』 | 日本盤初期は『DOKKEN』名義 |
| アーティスト名 | DOKKEN | 黄金期の4人が再集結した復活作 |
| リリース日 | 1995年5月23日 | 日本先行:1994年12月 |
| ジャンル | メロディック・ハードロック(HR/HM) | 90年代的ヘヴィネスを吸収 |
| レーベル | Columbia(US) / Victor(JP) | |
| 収録曲数 | 11曲(盤により異なる) | |
| 総再生時間 | 約54分 |
🌏 作品概要──『Dysfunctional』が放つ核心
『Dysfunctional』を聴くと、
どこか “大人になったDOKKEN” という言葉が浮かんできます。
80年代の輝かしい時代を駆け抜け、
一度は解散という選択をした彼らが、
もう一度同じ場所に立ち、音を鳴らした──
その“再会の温度”が静かに閉じ込められた作品です。
ただ、当時の私は、
このアルバムを前にして少し戸惑っていました。
「これは本当にDOKKENなのだろうか」
そんな気持ちが胸のどこかにあったのです。
華やかなLAメタルの残り香は薄れ、
代わりに漂っていたのは、
重さ、陰り、そして深い内省。
90年代のオルタナ/グランジの空気を吸い込んだサウンドは、
80年代の感覚のまま生きていた私には、
すぐには馴染まないものでした。
でも、年月を重ねた今あらためて聴くと、
あの変化は決して“時代に流された”ものではなく、
むしろ 彼らが自分たちの音に誠実であろうとした結果 だったのだと、
静かに理解できるようになりました。
🎧 音像・演奏──時代を超えて輝くサウンドの深み
90年代半ばという時代の空気をまといながらも、
『Dysfunctional』のサウンドには、
やっぱり “DOKKENらしさ” がしっかり息づいています。
当時の私はその変化に戸惑いながらも、
何度も聴き返すうちに、
この音の奥にある“誠実さ”のようなものに気づかされました。
🎸 George Lynch:抑制の中に潜む狂気
ジョージ・リンチのギターは、
90年代的なローエンドを意識した重いリフが中心。
派手なライトハンドや高速フレーズは控えめですが、
それでも一音鳴った瞬間に
「あ、これはLynchだ」
とわかる、あの独特のねじれたニュアンスは健在です。
若い頃のように“前へ前へ”と出るのではなく、
必要なところだけ鋭く切り込んでくる。
その抑制された狂気が、このアルバムの魅力を静かに支えています。
🎤 Don Dokken:枯れと艶のバランス
ドン・ドッケンの歌声は、
80年代の透明感あるハイトーンから、
中音域の“語り”で聴かせるスタイルへと変化しています。
当時の私は、この変化に少し寂しさを感じたのも事実です。
でも今聴くと、この落ち着いた歌い方こそが
『Dysfunctional』の内省的な世界観にぴったり寄り添っていて、
大人になったバンドの姿をそっと映し出しているように思えます。
🥁 リズム隊:Pilson & Brown の鉄壁
ジェフ・ピルソンとミック・ブラウンのリズム隊は、
派手さよりも “支える強さ” を優先した堅実なプレイ。
特に「Too High to Fly」のグルーヴは、
90年代の重い空気を吸い込みながらも、
どこかDOKKENらしい粘りと温度を感じさせてくれます。
この曲を聴くたびに、
「彼らは時代に合わせたのではなく、自分たちの音を選んだんだ」
と、静かに胸が熱くなるんですよね。
🎚 プロダクション
US盤での Michael Wagener の再ミックス によって、
日本盤よりもバンド感がぐっと前に出ています。
ギターのエッジはより鋭く、
ドラムのアタックは力強く、
ヴォーカルは楽曲に溶け込むように配置されていて、
“再結成した4人の音”がしっかりと形になっています。
当時は気づけなかったこの緻密さも、
今聴くと大きな魅力のひとつです。
✍️ 歌詞テーマ──情緒と物語が描く世界観
『Dysfunctional』の歌詞に流れているのは、
迷い、葛藤、再生、そして人間関係の影。
80年代のように“夢を追いかけるスピード感”ではなく、
もっと静かで、もっと現実的で、
心の奥にそっと触れてくる言葉が並んでいます。
90年代という時代は、
華やかなロックが一度幕を下ろし、
誰もが“現実と向き合う”ことを求められた時代でした。
その空気を、DOKKENはまるで鏡のように映し出しています。
象徴的なのが 「The Maze」。
出口の見えない心の迷路を彷徨うような描写は、
当時の私自身の気持ちとも重なる部分があり、
初めて聴いたときは胸の奥が少しざわついたのを覚えています。
若い頃のように勢いだけで走り抜けるのではなく、
立ち止まり、迷い、悩みながらも前へ進もうとする姿。
その“静かな強さ”が、このアルバムの歌詞には息づいています。
🕰 文化背景・時代性──あの頃の空気と、今だから見える景色
90年代半ば。
オルタナティヴ・ロックやグランジが世界の主役となり、
80年代HR/HMは、どこか“時代遅れ”のように扱われることも増えていました。
あの頃のロックシーンは、
派手さや技巧よりも、
“生々しさ”や“リアルな感情”が求められていた時代。
そんな空気の中で再び姿を現した DOKKEN の『Dysfunctional』 は、
80年代の煌びやかさを脱ぎ捨て、
素顔のままのロックへと静かに舵を切っていました。
ただ、当時の私は、その変化をすぐには受け止められませんでした。
「もう少し明るいDOKKENが聴きたい」
そんな気持ちがどこかに残っていたのだと思います。
80年代のあのキラキラした音を知っているからこそ、
このダークで内省的な質感に戸惑いがあったのは、
きっと私だけではなかったはずです。
でも、年月を重ねた今あらためて聴くと、
あの頃の彼らの選択はとても自然で、
むしろ “時代に合わせた”のではなく、
“自分たちの音に誠実であろうとした結果” だったのだと感じます。
若い頃には気づけなかったその誠実さが、
今では静かに胸へ染み込んでくるんですよね。
💿 再評価のポイント──リマスター/再発/ジャケットの魅力
『Dysfunctional』を語るうえで欠かせないのが、
日本盤とUS盤で大きく異なる仕様 です。
当時、CDショップで2種類のジャケットを見比べては、
どちらを手に取るべきか悩んだ方も多いのではないでしょうか。
🔧 ミックスの違い
- 日本盤(1994):ドン・ドッケン主導のミックスで、ヴォーカルが前に出た柔らかい質感。
- US盤(1995):マイケル・ワグナーが再ミックスを担当し、
ギターのエッジやバンドの一体感が強調された“本来のDOKKENらしさ” が際立つ仕上がり。
当時の私は、日本盤の穏やかな音像に安心しつつも、
US盤を聴いた瞬間に「これだ」と思った記憶があります。
あの鋭さは、やはりワグナーならではの魔法ですね。
🖼 ジャケットの違い
- 日本盤:4人のメンバー写真。再結成の喜びがストレートに伝わるデザイン。
- US盤:アート寄りのモノトーン。90年代のオルタナ的空気を反映した、少し不穏で象徴的なビジュアル。
どちらも魅力的で、棚に並べると雰囲気がまったく違うのが面白いところです。
🎁 コレクター視点
- 日本盤には EL&P「From the Beginning」 のカバーが収録
- US盤には 「When the Good Die Young」 が追加
- 再発盤では“いいとこ取り”の仕様も存在
こうした違いがあるからこそ、
『Dysfunctional』はコレクター心をくすぐる作品でもあります。
🎧 今買うなら
今から手に取るなら、
US盤ミックス+日本盤ボーナス曲
という“いいとこ取り”の再発盤が、
音質・内容ともに最もバランスが良いと思います。
当時は戸惑いながら聴いたこのアルバムも、
今ではこうして仕様の違いを楽しめるほど、
心に余裕を持って向き合えるようになりました。
🔥 全曲解説──『Dysfunctional』を彩る魂のトラックリスト
『Dysfunctional』は、曲順そのものが“再結成DOKKENの心の旅路”のように感じられるアルバムです。
当時の私は戸惑いながら聴いていましたが、今あらためて向き合うと、
この並びには 静かな物語性 があることに気づかされます。
では、正しい曲順に沿って、一曲ずつ丁寧に辿っていきましょう。
1. Inside Looking Out
— 再生の扉を静かに開く、重厚な幕開け
アルバムの代表曲として高く評価されるオープナー。
ジョージ・リンチの低重心のリフが、
“80年代と90年代の橋渡し”のように響きます。
当時の私は、この重さに驚きつつも、
「DOKKENが帰ってきた」と実感した最初の瞬間でした。
2. Hole in My Head
— 90年代的なざらつきとLynch節の融合
オルタナ/グランジの影響が最も色濃い曲。
ネット上でも賛否が分かれますが、
挑戦的な姿勢がはっきりと刻まれています。
当時の私は戸惑いが大きかったものの、
今聴くと“90年代のDOKKEN”を象徴する一曲に思えます。
3. The Maze
— 心の迷路を描く名バラード。そっと寄り添う余韻
出口の見えない心の迷路を彷徨うような描写が胸に刺さる名曲。
当時の私自身の心境とも重なる部分があり、
静かに心を揺さぶられたのを覚えています。
4. Too High to Fly
— 象徴曲。長尺の中でバンドの“今”が解き放たれる
7分を超える大作で、再結成DOKKENの“現在地”を最も鮮明に描いた曲。
重く沈み込むようなグルーヴと、
リンチの魂を削るようなギターソロが圧巻です。
当時の私は、この曲に何度も救われました。
5. Nothing Left to Say
— 大人の哀愁が滲む、静かな名曲
派手さはないものの、
アルバムの流れを整える大切なミディアムナンバー。
落ち着いた佇まいが、作品全体の深みを支えています。
6. Shadows of Life
— 影と光のコントラストが美しい
雰囲気重視の楽曲で、アルバムの“影”の部分を丁寧に描き出します。
派手さはありませんが、
この曲があることで『Dysfunctional』の世界観がより立体的になります。
7. Long Way Home
— どこか懐かしいメロディが心を温める
アルバム中盤の癒やしのような存在。
落ち着いたメロディが心に優しく触れてきます。
当時の私は、この曲で少し肩の力が抜けたのを覚えています。
8. Sweet Chains
— 絡みつくようなリフが印象的
ダークさの中に、DOKKENらしいメロディアスさが光る一曲。
リンチのギターが曲全体を引き締めています。
9. Lesser of Two Evils
— 直球のロックナンバー
通好みの一曲として評価されることが多い楽曲。
陰影のある展開とリンチのギターワークが光り、
“静かに燃えるDOKKEN”を感じさせてくれます。
10. What Price
— 重さの中に希望が差す
重厚なサウンドの中に、
どこか前向きな光が差し込むような楽曲。
アルバム終盤に向けての“静かな決意”を感じます。
11. From the Beginning
— EL&Pの名曲を静かに再解釈したカバー
本編ラストを飾るにふさわしい、静かで美しいカバー曲。
DOKKENの音楽的背景やルーツが垣間見える一曲で、
アルバム全体の余韻を優しく締めくくります。
12. When the Good Die Young(日本盤ボーナストラック)
— 80年代DOKKENのDNAが最も残る叙情曲
日本盤のみ収録されたボーナストラック。
ドン・ドッケンの歌唱が美しく、
“80年代の残り香”を最も感じられる楽曲として高く評価されています。
当時の私も、この曲には救われるような感覚がありました。
暗い時代の中に差し込む、ひと筋の光のような存在です。
❤️ ここが熱い!筆者が推す“本作の刺さるポイント”
『Dysfunctional』の中で、私がどうしても外せない一曲があります。
それが 「Too High to Fly」 です。
当時の私は、仕事や生活に追われ、
若い頃のように音楽へ一直線に向き合う時間が少しずつ減っていました。
そんな日々の中でこの曲を聴いたとき、
重く沈み込むようなリズムと、
ジョージ・リンチの魂を削るようなギターソロが、
胸の奥にそっと火を灯してくれたのを覚えています。
「彼らもまた、時代の中で戦っているんだ」
そう思った瞬間、
自分だけが迷っているわけじゃないんだと、
静かに背中を押されたような気持ちになりました。
今聴くと、この曲には
“大人になってからのロックの向き合い方” が刻まれているように思えます。
勢いだけではなく、迷いも、葛藤も、弱さも、全部抱えたまま前へ進む──
そんな姿が音になっているようで、
年齢を重ねた今のほうが、より深く沁みてくるんですよね。
あなたの心に残っている曲はありますか。
もしよければ、当時の思い出と一緒に教えてください。
このアルバムをどう受け取ったのか、あなたの物語もぜひ聞かせてほしいです。
🎵 関連レビューと次のリスニングへの誘い
『Dysfunctional』を聴き終えたあと、
もしもう少しDOKKENの世界に浸りたくなったら、
こちらのレビューもそっと覗いてみてください。
DOKKEN『Back for the Attack』
https://garaosyou.hatenablog.com/entry/2018/06/29/DOKKEN-Back_for_the_Attack_
80年代DOKKENの頂点とも言える名盤。煌びやかな時代の息遣いが蘇ります。Don Dokken『Up from the Ashes』
https://garaosyou.hatenablog.com/entry/hr-hm/album-review/retrospective/don-dokken-up-from-the-ashes
解散後のドンが見せた“もうひとつのDOKKEN”。
今回の『Dysfunctional』とも深くつながる作品です。Lynch Mob『Lynch Mob』
https://garaosyou.hatenablog.com/entry/20080523/1211486412
ジョージ・リンチが90年代に求めたグルーヴと魂。
『Dysfunctional』の陰影と聴き比べると、また違った景色が見えてきます。
音の旅は、いつだって自由で、どこへ向かってもいいものですね。
また次回、80’sメタルと共に語り合いましょう。
👨🎤 Personnel(参加ミュージシャン)
再結成という複雑な背景を抱えながらも、
スタジオに4人が揃った瞬間にしか生まれない“あの空気”が、
『Dysfunctional』には確かに刻まれています。
Vo:Don Dokken
深みを増した中音域で、内省的な世界観を静かに描き出す。Gt:George Lynch
抑制の中に潜む狂気。重心の低いリフと鋭いニュアンスが光る。Ba:Jeff Pilson
楽曲全体を支える太い低音と、繊細なコーラスワーク。Dr:Mick Brown
派手さよりも“支える強さ”を優先した、堅実で温かいドラミング。Producer:Don Dokken / Michael Wagener
ドンの内省的な方向性と、ワグナーのバンド感を引き出す手腕が融合。
🎧 作品を聴く
※公式YouTubeプレイリストより引用(DOKKEN / Dysfunctional)
映像とはまた違う“音の表情”を感じてみるのも素敵です。
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